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講演会・学会

傷のきれいな治し方2018年10月02日 

H30.9.29に行われた第16回宮城手の外科セミナーに参加してきました。

1日かけてみっちり手の外科を勉強しました。どの先生の講演も大変勉強になり、刺激を受けました。特に印象に残ったのは、日本医科大学形成外科教授 小川令先生の創傷・瘢痕治療の講演でした。物理的な力によって細胞が影響をうけるメカノバイオロジーという概念を、臨床に応用した点がとても革新的です。外科系の医師であれば、ぜひとも受けておきたい講演です。

以前のブログで小川先生の日整会の教育研修講演をまとめましたが、今回の講演もまとめてみます。

『手外科における創傷・瘢痕治療の最新理論と実践』

肥厚性瘢痕・ケロイドの原因は皮膚の真皮の深いところ、真皮網状層で続く慢性炎症で、皮膚が引っ張られることで、傷に物理的な力がかかっているところに起こる。皮膚がよく動く、胸部、肩、腹部はケロイドの好発部位となる。一方、皮膚が動かない、頭頂部、前脛骨部、皮膚がゆるい上眼瞼はケロイドができにくい部位である。整形外科は関節という動く場所を切るので常にケロイドのリスクがある。また、早期リハビリで炎症が続いてしまうこともリスクとなる。

このケロイドの発生の仕組みを逆手に取ったのが陰圧閉鎖療法。陰圧閉鎖療法は、湿潤療法と過量の浸出液を吸収する以外に、創面に加わる物理的な刺激で活動性が上がることで早く治るのではないかと考えられる。

高血圧がある、若い女性(ホルモンの関係)、体に目立つ傷痕がある方はケロイドのリスクが高く特に注意する。

手術部位感染(SSI)、肥厚性瘢痕・ケロイドの予防するためには傷にかかる力を最小限にすればよい。

 ①皮膚表面、真皮に過剰な力がかからないように縫合する

肥厚性瘢痕・ケロイドは真皮の網状層から発生するので、表皮を減張するのではなく、真皮の網状層を減張するようにしなければならない。そのためには、深いところをしっかり縫い(深筋膜は0PDS、浅筋膜は2-0,3-0PDSで縫合)、真皮縫合をしなくても創縁が勝手に密着する状況を作ることが大切。真皮縫合で寄せたらダメ。その後、軽く創面を合わせるように、4-0,5-0PDSで真皮縫合、5-0,6-0ナイロンで表面縫合をする。

膜構造は横方向の血流で強く縫っても壊死しないが、脂肪層は縦方向の血流で縫うと簡単に壊死する。膜構造を意識して縫合することが大事。

②切開の向きを考える

切開の向きは皮膚の動きと直交するようにすればよい。方向を変えられない場合は力の分散を考え、Z型に切開し、傷にかかる力を分散する。

腹部 腹直筋は上下の動きなので、横切開が良い。帝王切開は横切開なので理にかなっている。

胸部 大胸筋で横方向に引っ張られるので縦の切開が良い。胸部正中切開はケロイドのリスクが少ない。

膝 関節は上下に動くので横切開がよい。縦切開の場合は1か所でいいからZ切開とする。

顔 RSTL(Relaxed Skin Tension Line) 、皺に沿った切開をする。皺は引っ張られる方向と直交する線。

前腕 回内・回外の動きを考え「雑巾絞りの法則」に沿った、斜めの切開が良い。手関節を屈曲尺屈すると斜めの皺が見えるので皺のラインで切開する。

③十分なテープ固定

術後や外傷後、1週間程度で表面は治っても、真皮は3か月経過して80%治る。創を安静に保ち肥厚性瘢痕・ケロイドを予防するため、テープ固定は3~6ヶ月間行うことが勧められる。

傷にテープを張る向きは、傷が開かないように貼るのではなく、皮膚が引っ張られる方向に貼ると良い。例えば、腹部は縦に切っても縦に貼る。胸は横に貼る。膝は縦切開でも縦に貼る。

しかしテープの貼る向きをいちいち考えるのは大変なので、360°動かない1枚の大きなテープで貼ってしまえばよい。

テープの種類
アトファイン®(ニチバン)700円 かぶれにくく使いやすい
シリコーンジェルシート 4000円 高いのが欠点
ポリエチレンジェルシート(傷あとケアシート®)2000円 洗って何回も使える
シリコーンテープ 3000円 1番良い かぶれない
サージカルテープ 250円 いい点は軟膏もクリームも浸透するのでテープをはがさず、テープの上から軟膏やクリームを塗ることができる

④早期から副腎皮質ホルモンのテープ剤を用いる

肥厚性瘢痕・ケロイドが生じたらすぐにステロイドのテープを使用する。炎症をとるために皮膚の表面からステロイドを投与する感覚。リハビリをしながらでも使える。

現在使えるテープは2種類。
ドレニゾンテープは弱いステロイドでかぶれやすい。小児に使う。
エクラープラスターはストロングで効果が高い。テープによる接触性皮膚炎も抑えてしまう。大人で関節など力がかかるところは全てエクラープラスターにしているとのこと。

⑤適切な縫合糸を使用する

術後2年以降に起こる晩期感染は、体調を崩した時に細菌が血中を回って縫合糸についてしまうことで起こる。できるだけ異物は体に残したくないので、吸収糸を使う。縫いづらくても、バイクリルよりPDS(3か月間張力を維持する)を選ぶと良い。抗菌薬でコーティングされた糸を使うことも考慮する。

(投稿者:斉藤 揚三)

がん治療における緩和ケアの重要性2018年07月20日 

栗原市医師会学術講演会 2018.7.19

「がん治療における緩和ケアの重要性」

東北大学大学院医学系研究科 緩和医療学分野 教授 井上 彰 先生

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講演では、早期に緩和ケアを導入するメリット、過剰輸液の問題、基本を押さえることの大切さなどを教えていただきました。また、在宅医療についても取り上げられました。「在宅医療の医療機関によっては、緩和ケア病棟と同レベルの高度な緩和ケアも可能」とのお話もあり、当院もさらに高度な緩和医療を提供できるように精進してしていきたいと思います。

講演の内容を箇条書きにしてまとめてみました。

・2007年に施行された「がん対策基本法」が2016年に改定され、従来のがん治療3本柱(手術、放射線療法、化学療法)と同列に緩和ケアが位置づけられた。緩和ケアはがんをたたくわけではないが患者を楽にする立派な治療。

・2010年に発表された進行肺がん患者に対する臨床研究によれば、早期に緩和ケアをうけた群では標準治療群よりもQOLが高く維持され、抑うつの発症頻度は明らかに少なかった。さらに驚くべきことに、緩和ケア群の生存期間が延びた(両群とも抗がん剤の量に差はなかったが、緩和ケア群では終末期に抗がん剤治療をうけなかった=適切な時期に適切な治療がうけられた)。

・常に重要なのは症状緩和とコーピング支援(精神的サポート)。

・適切な治療選択とACP(アドバンスケアプランニング、家族を含めて患者と先々の話をする)が患者のQOL維持に役立つ。

・日本での遺族調査では、2/3が亡くなる1か月前まで抗がん剤治療を受けていたと答えている=日本でも不必要に長く抗がん剤が使われているケースが多いと推測できる。

・10年前まではどんな標準治療をしても肺がんの余命は1年前後だったが、最近は分子標的薬がでてきて2-3年、さらに免疫療法がでてきて3-4年になってきている。新しい治療により劇的な効果が出る方もいるが、いずれ再増悪することは伝えなければならない。

・固形がんは抗がん剤では治らない(病勢を抑えるだけ)と話していても、患者にアンケートをとると約半分が抗がん剤で治ると思っている。

・抗がん剤だけを引っ張りすぎて緩和ケアの話が先送りになると、患者は見捨てられ感を味わうことになる。治療中の段階から、抗がん剤治療の先にあるものを適切に伝えるのも、がん治療医の役目。

・緩和ケアを受けるタイミング:予後6-12か月の段階。予後1年未満と診断されてから1か月以内。初回または2次治療がうまくいかない時。

・基本的な緩和ケアで8割の問題は解決する。

・NSAIDsやアセトアミノフェンを軽視しない(オピオイドだけ処方されているケースがある)。

・オピオイドの増量ペースが速いときは現治療の妥当性を疑う。

・フェンタニルをつかっているから自動的にレスキューはアブストラル舌下錠(1日4回の制限がある)とはしない。

・点滴を少なくする。
呼吸困難でゼコゼコしているひとに点滴は天敵!緩和ケア病棟にくる方の半分以上は輸液が多すぎる。残り1か月では点滴はいらない。500mlでも多いことがある。東北大学病院緩和医療科では皮下輸液をしている。当然高カロリー輸液はいらない。口の渇きは点滴で良くならないことは証明されている。口の渇きには口腔ケアが一番良い。終末期の脱水は(適切な口腔ケアがなされていれば)苦しくない。どんどんドライにするほうが患者さんにとっては楽。点滴が多くなるのは家族の希望という側面が強いが、家族にきちんと説明すれば理解してくれる。

・ひどい便秘がせん妄の因子になることもある。

・予後が週単位=PPI>6.5になったら
①輸液を極力しぼる(1000ml/日以下)
②薬は最低限にする
③侵襲的な検査や処置はしない

・ほとんどのことは在宅でできる。在宅を希望する患者・家族に「この状態では帰れない」は禁句。

在宅緩和ケアのメリット
・住み慣れた環境で精神的に落ち着く
・生活のリズム(食事、睡眠)が患者中心
・家族にとっても生と死を考える良い機会

在宅緩和ケアのデメリット(多くは認識不足から懸念される)
・急変時に対応できない
 →終末期の急変は慌てることなのか?
・必要な検査、治療が受けられない
 →そもそも終末期に必要なものは僅か
・子供に悪影響を及ぼす
 →死から遠ざける方がよほど死生観を歪める
・人手がない
 →その通りかも(まずは介護サービスをフル活用するべし)

・臨床経験年数と緩和ケアの知識は優位に逆相関がみられる=緩和ケアに関しては若い医師が変えていかなければならない!

・東北大学病院では、STAS-J(苦痛のスクリーニング)を全がん患者に週1回は看護師がスクリーニングすることになっており、3以上であれば緩和医療科に連絡が来るようなシステムを作っている。攻めの緩和ケアを実践している。

(投稿者:斉藤 揚三)

「高齢者の薬物療法」の講演2018年02月01日 

薬剤の多剤併用により薬剤有害事象が起きていることをポリファーマーシーといい、社会問題にもなっています。当院ではできるだけ、薬を減らせないかを考えて診療しています。ポリファーマシーの問題で最も有名な東京大学 秋下雅弘先生の講演をまとめてみました。

第19回 日本在宅医学会大会 名古屋 2017.6.17

『高齢者の薬物療法 東京大学 秋下雅弘先生』の講演のまとめ

〇高齢者の薬物有害事象発生頻度
年齢が高くなればなるほど副作用がでやすい傾向
後期高齢者(75歳以上)では15%超に発生
高齢者の緊急入院の3~6%は薬物が原因

〇高齢者で薬物有害事象が増加する要因
複数の疾患を有する→多剤服用
臓器予備能の低下(薬物動態の加齢変化)→過量投与
認知機能・視力・聴力の低下→アドヒアランス(服薬率)低下、誤服用、症状発現の遅れ

〇薬物動態に関連した生理機能の加齢変化
消化管の機能は低下するのに、薬物吸収は変化しないのがポイント!つまり、血中濃度が上がりやすい。

〇薬物動態からみた対処法
少量投与から開始する(急性期疾患は例外)
長期的には減量も考慮

〇ポリファーマシーの定義
薬物有害事象、アドヒアランス不良など多剤に伴う諸問題を指すだけでなく、最近では、不要な処方、あるいは必要な薬が処方されない、過量・重複投与など薬剤のあらゆる不適切問題を含む概念へ発展。

〇何剤からポリファーマシー?
単純に数だけで決まるわけではないが…
薬物有害事象の頻度↑ 6剤以上
転倒の発生頻度↑ 5剤以上
5~6剤をカットオフとしてもよい

ポリファーマシーは栄養・ADL・認知機能低下に寄与するという報告あり

〇年齢階層別にみた処方薬剤数
75歳以上 5剤以上40%超える、7剤以上25%
ポリファーマシーのピークが80~85歳のところにあるのが驚き!

〇多疾患併存がポリファーマシーの主因
疾患数が増えれば増えるほど薬剤数が増える
複数科受診もポリファーマシーの要因→在宅医療を導入するメリット

〇ポリファーマシーを避けるために
予防薬のエビデンスは妥当か?高齢者に当てはめてよいか
対症療法は有効か?
薬物療法以外の手段は?
優先順位は?

〇要介護高齢者は管理目標が違う?
低血糖は認知症のリスク
逆に認知症は低血糖の発生リスク
高齢者糖尿病の血糖コントロール目標はゆるくなっている

JSH2014 75歳以上の降圧目標 150/90mmHg未満
血圧が低すぎると認知機能が低下する

〇特に慎重に投与を要する薬物は
認知機能低下を理由とした「特に慎重な投与を要する薬物のリスト」の代表的薬剤
抗精神病薬、ベンゾジアゼピン系、抗コリン作用のある薬剤(三環系抗うつ薬、パーキンソン病治療薬、オキシブチニン、H1受容体拮抗薬、H2受容体拮抗薬)

抗コリン系薬剤の累積投与により認知症発症リスクが増える

〇アドヒアランス(服薬率)をよくするための工夫
介護者が管理しやすい服用法 出勤前、帰宅後などにまとめる
秋下先生は高齢者には昼の薬はほとんど出していない

〇医師以外の職種だからできること
1薬を飲む様子から、服薬に困難がある状況が分かる
2飲むと体調が悪い、本当は飲みたくない、実際に飲んでいないといった訴えは医師以外の職種に伝えられることが多い
3医療環境の変化に伴い処方調剤の誤りが起きやすい
4疑問を感じたらとにかく確認を。医師以外のメディカルスタッフがエラーを防ぐ最後の砦

(投稿者:斉藤 揚三)

かぜ・インフルエンザと漢方治療2018年01月08日 

風邪やインフルエンザのシーズンになってきました。

風邪やインフルエンザはウイルス性疾患なので、抗生剤は効きません。処方するとしたら漢方薬が望ましいです。処方の際には井齋偉矢先生の漢方薬の講演が実践的で役に立ちます。講演のまとめを以下に載せておきますので参考にしてみてください。

サイエンス漢方処方セミナー 仙台 2017.1.22
井齋偉矢先生「かぜ・インフルエンザと漢方治療」

風邪症候群の治療は漢方薬を基本とする。

炎症の部位・程度・病期・免疫能・key word これらの項目を詳細に吟味して病態が把握できると漢方薬が決まる。ずれると応答しない。

往々にして風邪は症状が強いので、初めから1日3回投与はありえない。少なくても4回(朝昼晩寝る前)、多くなると5回(さらに15時も加える)など。よくなってきたら投与間隔を伸ばす。 日本の漢方薬の量は中国の1/3~1/5程度。3倍使ったとしても3倍量だしたわけではない。安全域に余裕がある。急性期は畳みかけるように飲まないと反応がでてこない。

 咽頭(バリアなし)の炎症

炎症の部位:咽頭のみ 程度:軽い 病期:急性(発症後2,3日以内) 免疫能:普通~やや低下 key word:咽頭の色がきれいな赤

Rx) コタロー桔梗石膏6.0g or ツムラ桔梗湯7.5g 分3 4日分 発症後3日くらいまで。症状の強いときは、3~4時間おきに服用すると良い。ツムラ桔梗湯は水に溶かして水薬にして咽に5秒以上馴染ませる含み飲みを推奨。苦手な人にはOTCで桔梗湯トローチがある。咳嗽がでてきたら、小柴胡湯加桔梗石膏へ。患者さんの反応が悪いときは早めに小柴胡湯加桔梗石膏に変えた方がよい。

炎症の部位:咽頭の周辺に広がる 程度:中等度 病期:亜急性(発症後4,5日以降) 免疫能:普通~やや低下 key word:咽頭の色は鮪の赤身のよう、咳が出始める

Rx) ツムラ小柴胡湯加桔梗石膏7.5g 分3 7日分 発症後4,5日以降。症状が強いときは、3~4時間おきに服用すると良い。

鼻と喉の違うところは鼻にはバリアーがある。鼻と喉に同じように効く薬は存在しない。鼻と喉はよく症状が合併するが必ず違う薬を用いる。

鼻炎、副鼻腔炎

炎症の部位:鼻腔 程度:軽度~中等度 病期:急性 免疫能:普通~やや低下 key word:鼻が詰まって口で呼吸、鼻がムズムズ

Rx) 東洋桂麻各半湯4.5g 分3 3日分 or ツムラ麻黄湯7.5g 分3 1日分 麻黄湯は速攻で鼻水を止めたいときに頓服的に使う。

炎症の部位:鼻腔から副鼻腔へ進展 程度:中等度 病期:亜急性 免疫能:やや低下 key word:頬部が熱を持つ、後鼻漏でむせる(特に就寝中)

Rx) ツムラ辛夷清肺湯7.5g 分3 7日分 鼻炎がこじれて副鼻腔炎になったときの第一選択。作用増強のためにツムラ葛根湯加川芎辛夷7.5g 分3を追加。副鼻腔の化膿対策にツムラ排膿散及湯7.5g 分3を追加。

発熱を伴うかぜ、インフルエンザ

炎症の部位:体表から内部へ 程度:中等度 病期:急性 免疫能:普通~やや低下 key word:熱っぽい感じ、赤ら顔

Rx) 東洋桂麻各半湯4.5g 分3 3日分 熱感のあるかぜの初期には抜群の切れ味を示すので常備薬としても有用

炎症の部位:体表から内部へ 程度:中等度 病期:急性 免疫能:低下 key word:とにかく冷えて冷えて、細くて沈んだ脈

Rx) ツムラ麻黄附子細辛湯7.5g 分3 4日分 or コタロー麻黄附子細辛湯6C 分3 4日分 平熱の低い人に適応が多い。身体が温めるに従い免疫力がアップする。

炎症の部位:体表から内部へ 程度:重度 病期:急性 免疫能:やや低下 key word:無汗が必須条件、悪寒・関節痛

Rx) ツムラ麻黄湯7.5g 分3 1日分 実際には2,3時間毎(1,2時間毎でも良い)にはっきり発汗するまで飲む。逆に発汗したら終わり。

インフルエンザ罹患時の体温の経時変化 麻黄湯群、オセルタミビル群、ザナミビル群で有意差なし

炎症の部位:体表から内部へ 程度:重度 病期:急性 免疫能:やや低下 key word:烈しい悪寒・身体中が痛い

大青竜湯の近似処方 Rx) サラサラには(無汗が必須条件)→ ツムラ麻黄湯7.5g+ツムラ越婢加朮湯7.5g 分3 1日分 ハッキリ発汗するまで。背中がシットリしていたら→ツムラ桂枝湯7.5g+ツムラ麻杏甘石湯 7.5g 分3 1日分 インフルが抜けるまで2~4時間毎に服用。

回復を後押しする漢方薬

炎症の部位:特定の部位はない 程度:いろいろ 病期:回復期 免疫能:やや低下 key word:胃腸の働きが落ちている、倦怠感を訴える

Rx) ツムラ補中益気湯7.5g 分3 14日分 病悩期間が短いほど、年齢が若いほど、効果発現までの期間は短い

こじれて咳がついてきたら

炎症の部位:気管支と肺 程度:こじれたのだから重度 病期:亜急性期 免疫能:かなり低下 key word:気管~肺胞のどこが首座か?乾性~湿性のどの辺りか?喘鳴は聞こえるか?

Rx) ツムラ麦門冬湯9.0g 分3 7日分 日中の咳き込みに。乾性咳嗽の初期にしか効かないし、効果の持続時間が短いので頻回に服用する。

Rx) ツムラ滋陰降火湯7.5g 分3 7日分 こじれ始めてまだ湿性の兆しがみえないときに早めに服用を始める。布団に入ってから咳き込むとき。 あくまでも乾性咳嗽だがもう少し効果を増強したいときには麦門冬湯を追加する。 ツムラ麦門冬湯9.0g 分3 7日分

Rx) ツムラ竹筎温胆湯7.5g 分3 7日分 湿性咳嗽に。さらにこじれて抗菌薬の併用は必須の状況で使われる。乾性咳嗽が始まっても肺の中には乾性の部分も残っているのが普通なので滋陰降火湯の併用が効果的である。 ツムラ滋陰降火湯7.5g 分3 7日分

Rx) ツムラ麻杏甘石湯7.5g 分3 7日分 小児の咳嗽・喘息患者の咳嗽の第一選択。発熱はあっても微熱程度。五虎湯は甘いので子供が飲みやすい。 咽頭痛や喀痰が多いときには五虎湯を考慮する。 ツムラ五虎湯7.5g 分3 7日分

Rx) ツムラ小青竜湯9.0g 分3 7日分 何を処方しても駄目なときにこれで咳がピタッと止まることがある(アレルギー性)。咳止め効果増強に麻杏甘石湯を追加。ツムラ麻杏甘石湯7.5g 分3 7日分

Rx) ツムラ小柴胡湯7.5g 分3 7日分 しっかり気管支炎や肺炎になれば、小柴胡湯の強力な抗炎症作用が必要になる。症状が強ければ重症度に応じて2~4時間毎に1週間服用。

 インフルエンザ対策

インフルエンザシーズンになったら予防として。実際に流行が始まっても予防効果がある。インフルエンザ患者と接触する職種にも有効。 Rx) ツムラ補中益気湯7.5g 分3 14日分

<成人に推奨される処方例>①イナビル吸入粉末薬20mg 2回吸入②ツムラ麻黄湯7.5g+ツムラ越婢加朮湯7.5g 分3 1日分(2時間毎に)
発汗したら下記へ。発汗していたら下記から開始。
③ツムラ桂枝湯7.5g+ツムラ麻杏甘石湯 7.5g 分3 1日分(2~3時間毎に)
解熱したら ④東洋桂麻各半湯4.5g+ツムラ補中益気湯7.5g 分3 2~3日分

<小児に推奨される処方例> ①まだ元気があるときは麻黄湯 ②ちょっと汗をかいているときは桂麻各半湯 ③最初からぐったりして動けないときは大青竜湯 (無汗:麻黄湯+越婢加朮湯、しっとり:桂枝湯+ツムラ麻杏甘石湯)
重症感があればためらわずに③で! 処方箋には1日3回と書くが、実際は… 就寝時を除き3~4時間おきに。本当にぐったりなら2時間おき。 37.5℃に解熱したら内服中止。
食欲がなくてダラダラしていたら補中益気湯。下痢などの消化器症状があれば真武湯。

<大青竜湯で改善しないとき> 内臓の強力な抗炎症薬である柴葛解肌湯の近似処方 ツムラ葛根湯7.5g+ツムラ小柴胡加桔梗石膏7.5g 分3 7日分(実際は3~4時間毎に服用)

<インフルエンザ咳嗽の治療法> 湿性咳嗽の第一選択 ツムラ竹筎温胆湯7.5g 分3 7日分  ややこじれた乾性咳嗽 ツムラ滋陰降火湯7.5g 分3 7日分 両方使う wetとdryな領域が複雑に混在するため

<肺炎になった場合> 細菌性なら抗菌薬、ウイルス性ならステロイド。でもそれだけでは重症の肺の炎症は治らない。肺の高度な炎症を鎮めるには小柴胡湯投与が必須である Rx) ツムラ小柴胡湯7.5g 分3 14日分(実際は4時間毎に7日間投与する)

まとめ:かぜの治療で留意すること 最初から強めの方剤でバシッと決めていち早く免疫系を立ち上げる

(投稿者:斉藤 揚三)

在宅における胃ろうの管理2017年09月11日 

在宅での胃ろう管理について書いていきます。

胃ろうが造設されている患者さんは寝たきり状態の方が多いため、交換の度に病院に通院するのも大変です。
そこで、当院ではできるだけ在宅で交換できる方は交換するようにしています。

注意していることは、
初回交換はトラブルが多いと言われているので、造設した医療機関でしてもらう。
バンパー型はトラブルが多いため交換しない。バルーン型のみ交換する。
交換後の確認に、スカイブルー法とエコーを使いチェックします。

↓が表在エコーによる確認です。交換前後で変わりがないことを確認しています。
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胃ろうの管理に関しては、 2016年度の在宅医学会大会での「在宅における胃瘻の管理 小野沢 滋先生」の講演がとても参考になりましたので、忘備録としてまとめて載せておきます。

交換頻度 バルーン型 1~2ヶ月に1回 破れるので

     バンパー型 6ヶ月に1

初回交換は6ヵ月後。造設機関で内視鏡下の交換を推奨。

バルーンタイプは結構破れる。同じ人で破けやすい。

在宅で交換する場合はガイドワイヤ付を推奨。

ボタン型の長さは、皮膚面から外部バンパーまで1~2cmほど余裕を持たせる。1cmでは短い。緩くて悪いことはない。

臨時訪問可能ならバルーン型を選択。

臨時訪問困難ならバンパー型が無難。

バンパー型なら細径経胃ろう内視鏡(経2.7cm、HOYA、60万円)で必ず確認する。

挿入後の確認

色素注入による確認(スカイブルー法)。エコーでかなり確実に分かるという論文あり。

○スカイブルー法 

100mlの水に1mlのインジコカルミンを入れて色素液を作る。

交換前に胃内に100mlを注入。

交換後に10mlより多くの吸引で胃内と判断。

感度94% 特異度100%

○胃ろう交換の実際(スカイブルー法)

①胃ろうの可動性の確認(胃ろうが回るか、上下に動くかを確認)→バンパー埋没症候群があるかないかの確認。

②胃ろうの挿入されている方向を確認し覚える。シャフトがどっちを向いているか。

③色素入りの水を100ml注入。

④古い胃ろうを通しガイドワイヤを挿入。(この際に周りにティッシュを置いておく)

⑤古い胃ろうを通しガイドワイヤを残して抜去し、ガイドワイヤを通して新しい胃ろうを挿入。

⑥胃内容を吸引し10mlより多く引けることを確認。10ml引けなければ内視鏡で確認が必要。

バルーンの水が抜けない→バルーンに生食、水をいれてしまう人がいる。

バルブの不都合で抜けない方もいる。

○胃ろう交換のトラブル

ろう孔破損→腹腔内誤挿入。0.5%程度は発生する。

出血(胃内)、挿入困難、抜去困難、バルンの水が抜けない、バンパー脱落。

初回交換は家でやらない。初回交換はトラブルが多い。

○腹腔内誤挿入

バルーン型でもバンパー型でも起こる。

ガイドワイヤが絶対ではない。

初回交換での発生率が高い。

頻度としては0.5%程度と低くはない(100回で4割)。

挿入後の胃内留置確認の徹底を。

交換後初回の栄養剤注入は要注意。まず、水を入れてみるのも手。

○抜去困難

長期留置の場合に多い。

個人差があり繰り返す。

一度抜くのが難しかったら交換頻度を多くすることも考慮。

無理は禁物→内視鏡での切断法に。

○挿入困難

ガイドワイヤ無しの場合に多い。

ろう孔が斜めになっている場合など。

無理しない。細経の尿道カテーテル(12Fr)などをとりあえず留置する。

○胃ろうの管理

ゆるめが良い。

チューブタイプはできるだけ垂直に。

栄養剤注入前は胃内のガスを脱気すること。蓋を開けておくだけでも脱気できる。

11回は360度以上回すこと。

バンパー埋没症候群に注意。胃ろうを引っ張っていると起こる→引っ張ったらダメ。

○自己(事故)抜去

多くはバルーン型に起きる。

繰り返す場合がある→おそらく蠕動による陰圧で破裂。

対処

バルーン型でバルーンがしぼんで抜けたのであればすぐに訪問し再挿入。

バンパー型・バルーンが膨らんでいる場合は内視鏡での交換。ろうこうが壊れている可能性あり。

○胃ろうの管理上でのトラブル

胃ろう周囲が赤くなる→真菌に注意。

胃ろう周囲から栄養剤が漏れる、不良肉芽が出来る→バンパーを緩める。

胃ろうが抜ける→バンパー型は病院へ。

嘔吐する→体位と減圧を確認。

下痢をする→半固形化や投与速度を調整。

○ 胃ろうからの漏れ

原因

胃粘膜の萎縮が原因の一つ。

バンパー埋没症候群も注意。

対処

バンパーを緩める。

ボタン型の場合にはとりあえず腹壁に押し付け固定。

半固形化栄養剤の使用。

次の交換でシャフトを太くしたり短くするのは最悪。長くする。

○栄養剤の固形化

投与時間の短縮。

胃内停滞時間の短縮の可能性。固形化のほうが胃蠕動が起こる。

漏れ、皮膚トラブルの改善の可能性。

便通の改善(増粘剤の食物繊維による)。

一般的には寒天を用いて固形化する。

水分200mlに寒天1g程度。杏仁豆腐の硬さになるように。

○固形化・半固形化栄養剤

保険収載品 ラコールNF配合径腸用半固形剤
作成の手間がいらない。デイサービスなどでも投与可能。

寒天と経管栄養剤を用いて作成した物
様々な栄養剤で固形化可能。注入が比較的容易。(タッパーに1回分作ってしまい、注射器でかき混ぜ吸い上げる。あるいは50mlの注射器の中に寒天を入れた栄養剤を吸っておいて、冷蔵庫の中にいれて作り、そのまま注入してもらう)

(投稿者:斉藤 揚三)

頚肩部痛に対するHydrorelease2017年08月09日 

2017.6.25 福岡で行われた、コニカミノルタ社主催の講演の中で、表題の皆川先生の講演をまとめてみました。

・四十肩、五十肩という言葉を整形外科医は使ってはいけない。患者さんが不利益を被る。

・痛みが首由来か肩由来かの簡単な見分け方 
    腕を動かすと痛い→肩関節由来 首を動かして肩が痛い→首由来

・Spurling’s test  感度95% 特異度94%

・Shoulder Abduction Relief Sign(SARS) 手を頭の上に乗っけると症状が楽になる
    C6神経根症に特徴的なサイン C7でも陽性になることが多い

・水平内転できず痛みのある患者 SAB注射で効果なく三角筋と棘下筋の間のfasciaをHR

・首が回らない患者 圧痛を確認し、僧帽筋と肩甲挙筋の間のfasciaをHR 首が回旋できるようになる

・頸部神経根症

 発生頻度0.1% 50,60代に多い 男>女

 原因 変形性脊椎症 68% 椎間板ヘルニア 22%

 自然経過 88%は1か月以内に自然軽快

 発症4-5年後、90%は無症状か軽度

 1-2年以内の再発率 12.5%

・頸部神経根症の治療 超音波ガイド下神経根ブロック

・注射のランドマーク Uの字の頸椎横突起

 C7は前結節がないのが特徴 C7の横突起をランドマークにして神経根を同定する

 C4,5,6と下に行くほど前結節と後結節のすきま(結節間溝)が広くなる≒下に行くほど神経根が太くなる

 C7はもっと太く、すぐ隣に椎骨動脈が見える

 C6はすぐに分岐するのも特徴

 神経根自体には刺さない 局麻剤でくるむ

・頻度 C5 2-6.6% C6 19-17.6% C7 46.3-69% C8 10-6.2%
→8割がC6 or C7

・背部痛と障害神経根 肩甲棘上部 C5 or C6、肩甲棘下部 C7 or C8

・放散痛と障害神経根 母指 C6 中指 C7 小指 C8

(投稿者:斉藤 揚三)

運動器エコーフェア2017に参加してきました。2017年08月06日 

2017.8.6 東京で行われた運動器エコーフェア2017に参加してきました。
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どの先生の講演も非常に勉強になりましたが、特に文教学院大学 福井勉先生の「皮膚テーピングによる運動機能解剖への応用」という講演がとても面白かったです。
テーピングによって関節可動域が拡大する様子をデモンストレーションしていただきました。会場からは驚きの声が上がっていました。

(投稿者:斉藤 揚三)

心不全を家で最期まで診るためには2017年06月27日 

2016年度の在宅医学会大会において、
「心不全を家で最期まで診るためには」のテーマで ゆみのハートクリニック 弓野 大 先生の講演がありました。
ゆみのハートクリニックさんでは、在宅で急性心不全の治療から、植込み型補助人工心臓の管理まで、かなり幅広く行っているようです。また、心不全の多職種チーム医療として、看護師による管制塔システムというものや、訪問心臓リハビリテーションも行っているようです。
講演では心不全治療を大きく、安定期、増悪期、終末期の3つのステージに分けてお話しいただきました。忘備録として講演内容を以下に載せておきます。

○急性心不全の予後(ATTEND registry
心不全で入院した患者の長期予後
院内死亡率6.4%1年死亡率21.8%1年死亡率/再入院率37.9% 
→非常に予後が悪い疾患

○心不全の病状進行のパターン
がんと違って、入院するたび、増悪するたびに病状(心機能・自立度)は進行していく。
循環器科医はいかに増悪を抑えるか、慢性期管理をどのように行うのかを注目している。

●心不全安定期

高齢者への医療指針
1.生活環境を考えよう
2.薬はシンプルに 足し算の医療はしない
3.意思決定支援を
4.介護負担の軽減を
5.多職種チーム医療で

○慢性心不全管理プログラム
退院後2~4週間で再入院の方の半分が入院
→2週間以内に訪問診療に入る
1週間で2kg以上体重が増えたら連絡してもらう
体重の管理 悪い人なら11回 悪くない人でも1週に1回は体重測定
自分で無理な人は訪問看護が入ったときは必ず体重を測定する。

○症状がない隠れ心不全 
無症候性 ステージA,B  症状が表に顕在化する前に診るのが大事

○2種類のうっ血
①臨床的うっ血 目に見えるうっ血
②血行動態的うっ血 目に見えないうっ血 いかに感知するか
血行動態的うっ血 BNPでみる 個体差があるが一人の患者の中でよくみる
BNP 100を超えたら心臓に負担がかかっていると考え専門医への紹介も考える。

○心不全の病態
拡張不全 EF>50%、収縮不全 EF<50%

○急性心不全患者における収縮不全(reduced EF)と拡張不全(preserved EF)の割合
54.9%と45.1% ほぼ同じ
収縮不全と拡張不全の予後は変わらない。

○収縮不全 標準薬物治療をしっかり
早い段階からACE阻害薬またはARB
次にβ遮断薬
症状がでてきたら利尿剤を少量
抗アルドステロン薬を入れる

○拡張不全 
高齢者の7割が拡張不全の心不全と言われている
予後を良くする薬はない
症状のコントロールが大事 エビデンスがあるのが硝酸薬と利尿薬

○利尿薬
ループ利尿薬の単剤の大量投与は、腎機能の低下や交換神経系、RASの亢進でよくない
いくつかの薬を上手に少量使っていくと良い

○心不全患者におけるループ利尿薬の種類と特徴
Bioavailability (血中に入ってきちんと作用するか) ルプラック80% 、ダイアート10%
容量依存性に対応できるのがルプラック(+抗アルドステロン作用もある)

○慢性心不全の利尿薬の種類と使用例
ルプラックを少量加えて、カリウムに注意してアルダクトンを入れる(50mgまでいけば肺うっ血を抑えられるだろう)、要所要所でサイアザイド系を加える

●心不全増悪期
急性増悪前の自覚症状
症状をひとつひとつ聞く、診る
息切れ92%
体重増加60% 食欲低下で脂肪・筋肉が落ちてきて体重が変わらなくても増悪する例あり
急性呼吸困難37%、下肢浮腫35%、発作性夜間呼吸困難28%、易疲労感17%、動悸7%

○左心不全と肺うっ血
左心不全の症状 肺うっ血、呼吸困難、起座呼吸
症状は派手
低酸素を起こす
循環器科医は左心不全の治療の方が楽
大学病院では院内死亡率 2%以下

○心不全患者は睡眠、臥床にて体液シフト→頚部と肺のうっ血→発作性夜間呼吸困難
夜間の睡眠状態、呼吸状態を観察する チェーンストークス呼吸 
明け方に無呼吸になるがいびきがない(はじめはいびきをするが、明け方ない)のは悪いサイン。
夜間の無呼吸の検査をして、陽圧呼吸の適応となる。

○右心不全と全身のうっ血
右心不全の症状 体液の貯留 下肢浮腫、体重増加 ゆっくり増えてくる
肝の腫大、頚静脈怒張、静脈圧の上昇

○高齢者心不全では下肢浮腫が起こりやすい。
家から施設に入った患者は足がむくむ →長時間の座位姿勢、筋力低下による生理的なもの

○急性心不全のクリニカルシナリオ(CS)と治療
CS1 SBP>140 fluid shift 体液が一時的に移動しているだけ NPPV 硝酸薬
CS2 SBP100-140 NPPVおよび硝酸薬 利尿薬 

○陽圧呼吸は肺うっ血を軽減する
酸素化能の改善、前負荷の減少、後負荷の減少、呼吸仕事量の減少
→血行動態に対し有益な影響を与える

急性心不全に対する治療ガイドライン
レベルA クラスⅠ 酸素投与で無効の場合にNPPV

○心不全:肺うっ血と設定圧
PAWP>12mmHg以上 CPAP4-8cmH2Oなら安心?(10cmを超えると心拍出量が低下し心不全を悪くする症例も)

○心不全増悪期に血管拡張薬をどう使う?
NTG(ミリスロール) ISDN(ニトロール)
硝酸薬の効果
Artery vs. Vein 拡張
NTG 1:1-2
ISDN 1:10
ISDN
(ニトロール)の方が急性心不全の患者によい
ISDNでは明らかにうっ血を改善する
ニトロールスプレー 舌下に1puffより2puffの方が効果的(1回空打ちする)
重度の心不全患者さんではニトロールを自宅に配備して夜苦しいときに使ってもらう 治療的診断にもなる 効果があれば心不全 朝まで効果も持続する

意識障害の既往がある重度ASの患者さんは突然死することを家族に説明する。

○高齢者における急性心不全患者の在宅管理の有用性
在宅ケア患者に限っては、うつ症状、栄養状態、生活の質のスコアが改善したというデータがある。

●心不全終末期
症状も多彩 息切れ・倦怠感90%、痛み75% (がんの痛みとも違う)
呼吸困難の評価ポイント 不安感を伴っている症例が多い
呼吸困難に対するモルヒネの適応 ①低酸素血症がない②呼吸回数<20/分でない③痰が多くないこと

末期心不全の在宅看取りのポイント
1. 適切な心不全治療を行う
2. 早い段階での意思決定
3. 介護負担への介入を考える
4. 多様な症状を定量的に判断し対応
5. 病態や治療を理解する(チェーンストークス呼吸や埋め込み型助細動器作動など)
6. 輸液は可能な限り控える
7. 在宅酸素療法、在宅人工呼吸器、ベンゾジアゼピン系内服薬または鎮静座薬、オピオイド類の4つの道具を症例に応じて使用

モルヒネは心不全であっても使える。コメントを書けば、保険で切られたことはない。
終末期ではACE阻害薬、β遮断薬をやめる選択肢はある。

(投稿者:斉藤 揚三)

ユマニチュードの研修会に参加してきました2017年06月05日 

2017.6.3~4 東京医療センターで行われたユマニチュード入門コースに参加してきました。
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ユマニチュードとは、高齢者とくに認知症患者さんに対する、知覚・感情・言語によるコミュニケーションの技法です。
このコースは看護師や介護士が主な対象でしたが、普段の診療にユマニチュードを取り入れられるのではないかということ、また、職員に指導もできるのではないかと考え受けてみました。
実際受けてみて、実践的な内容でかなり勉強になりました。講義→演習の繰り返しの中で、ユマニチュードの4つの柱(見る、話す、触れる、立つ・歩く)と5つのステップをたたきこまれました。
事前に本「ユマニチュード入門」を読んでユマニチュードについて分かった気でいましたが、全く分かっていませんでした。
ユマニチュードは、これからますます高齢化が進む日本において、あらゆる職業の人に必要とされる技術であると思います(実際、救急隊、学校の先生、ホテルの従業員などにも役に立っているようです)。少なくとも、患者さんのケアの主体となる看護師や介護士や家族は絶対に知っておくべき技術だと思います。
患者さんに対する優しい気持ちだけでは駄目で、学ばなければならないのです。

(投稿者:斉藤 揚三)

レントゲンに頼りすぎない超音波診療2017年05月27日 

引き続き、第90回 日本整形外科学会学術集会(仙台)の報告です。

「レントゲンに頼りすぎない超音波診療 皆川洋至先生」

今、まさに整形外科診療がレントゲンからエコーにパラダイムシフトしていることが良く分かりました。さらに今後は、エコーガイド下の手術が行われるようになっていくと皆川先生は予想しています。また、今後AIが発達したときに、診断はAIにはかなわなくなり、医者が生き残る道は、患者さんに侵襲を伴う行為(注射や手術など)しかないとのお話がありましたが、その通りだと思いました。

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江戸時代に作られた五十肩という俗称に異をとなえ、1947年に「疼痛性肩関節制動症」とした三木威勇治先生(岩手医専教授→東北大教授→東大教授)、2012年に「凍結肩」を提唱した井樋栄二先生(現東北大教授)、超音波の医学への応用に多大な貢献をした和賀井敏夫先生(石巻生まれ、仙台二中出身、順天堂大教授)。ともに仙台にゆかりのある先生方のお話がまずありました。

次に、HR(Hydro-Release、生食リリース)をした症例を映像で見せていただきました。筋膜リリースに加え、頚部神経根症のブロックも超音波ガイド下に行っているようです(超音波では頚椎の横突起をランドマークにしているとのこと)。また、神経麻痺に対してもHRをして効果をあげているというのには驚きました。

最後に伊達政宗の五条訓は医師の心得にも通じるとして、その紹介がありました。非常に示唆に富んでいて考えさせられました。

仁に過ぐれば弱くなる 
 人を大切にし過ぎれば、相手のためにならない

義に過ぐれば固くなる
 正義を振りかざすと融通が利かなくなる

礼に過ぐれば諂(へつら)いとなる
 礼儀正し過ぎると、相手に対する厭味となる

智に過ぐれば嘘を吐く
 頭が良過ぎると平気で嘘をつく

信に過ぐれば損をする
 他人を信じ過ぎると損をすることになる

↓コニカミノルタ社のレポートです。
https://www.konicaminolta.jp/healthcare/report/us/20170521/index.html

(投稿者:斉藤 揚三)

 

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