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高齢者「薬漬け」適正指針の記事2017年12月24日 

12/24の産経新聞の一面(スマートフォンから無料で見ることもできます)にポリファーマシーの医療記事が載っていました。こういった記事によって、ポリファーマシーの問題が一般の方にも広まっていくといいですね。

内服薬が多くなる原因としては、記事にもあるように患者側が薬を欲しがるということもあるのですが、医療側からは足し算の医療をしていることが原因です。

足し算の医療とは、患者の訴えに全て薬で対応しようとするところから始まります。医師は薬を出すことだけが仕事ではありません。訪問診療では患者さんの生活背景を直接見ることができるので、薬に頼らない、より総合的なアドバイスをすることができます。

高齢者「薬漬け」適正指針 国が初 副作用の有害性明記

高齢者が多くの薬を服用する「薬漬け」について、厚生労働省が、医師や薬剤師らを対象に服用の適正指針案(骨子)をまとめたことが23日、分かった。国レベルで高齢者の内服薬に関する指針を作成するのは初めて。薬の多種類の服用は副作用などのリスク増が指摘されている。日本では「患者がとりあえず薬をもらいたがる」といわれ、医療費の削減も期待される。指針は来春にも完成し公表、一般国民向けも来年度に考案するという。

厚労省によると、60歳を超えると高血圧や骨粗鬆(こつそしょう)症など複数の疾患を抱えることから、服用する薬の種類が増加し、75歳以上でさらに多くなる傾向にある。レセプト(診療報酬明細書)調査によると、70歳以上の患者で平均6種類以上服用している。

 東京大などの患者調査では、薬を6種類以上服用している場合に副作用が出やすくなったりするケースが急増。転倒の発生頻度が2倍近くに増え、認知障害のリスクが増加するというデータもある。

 このため指針案では「医療の質を向上させ、患者の健康に資すること」という目的を記載。高齢者が薬を服用することで生じる物忘れや目まい、失神など「有害事象」を列挙した。

 安全性確保の観点から、単に薬の数を減らすのではなく、適正な処方内容への見直しが重要であることを明記。複数の医師にかかっている場合は「お薬手帳」を活用してかかりつけ薬剤師にチェックしてもらうことも念頭に、「医師、薬剤師、看護師などが一元的に情報を集約し、連携すること」とした。

 NPO法人「高齢社会をよくする女性の会」が今秋、約5千人の高齢者に調査したところ、処方された薬を飲み残す患者も多く、47%が飲み残しの経験があると答えた。

 同法人代表で東京家政大の樋口恵子名誉教授(家族関係学)は「服薬を不安に思う高齢者は増えている。『人生100歳時代』になり、いずれ自分で薬が管理できなくなる。薬は“命のもと”であり、薬の適正なあり方を考え直さなければならない」と話した。

(投稿者:斉藤 揚三)

点滴による医療事故について2017年11月25日 

こういった記事をみると、あらためて皮下点滴が有利なのが分かります。皮下点滴の方法はココをクリック

在宅の場では点滴を管理する人は家族になるのでなおさらですね。

岐阜県立多治見病院で今年4月、入院中の70代の女性の点滴チューブが外れ、血液が流れ出し死亡する医療事故があったことがわかりました。

 病院によりますと、死亡したのは内科に入院中の70代の女性で、今年4月11日午後6時半ごろ、看護師が点滴を投与したところ、約1時間半後に点滴のチューブが分岐部分で外れているのを、見つけました。

 女性の血液はチューブ内を逆流していて、既に心肺停止の状態でした。

 女性は点滴を受けた際は意識はほとんど無く、自分で外すことは考えにくいということで、警察が司法解剖した結果、死因は失血死でした。

 病院は医療事故と認めた上で、外部の医師らによる調査委員会を設置して原因を調べていて、岐阜県警も病院側に過失がなかったか調べています。

東海テレビ 2017.11.25

「転倒も 薬飲み過ぎの副作用」の記事2017年09月27日 

本日、yahooニュースの科学版にポリファーマシーの記事が載っていました。

ポリファーマシーとは薬剤の多剤併用により有害事象が起こっている状態をいいます。
当院ではできるだけ不必要な薬を減らせないかを考えながら診療しています。
こういった記事で、一般の人にもポリファーマシーへの理解が広まっていくといいですね。

薬の飲み過ぎ、副作用相次ぐ 転倒、ふらつきで骨折も 睡眠薬や胃薬「ついでにもらう」要注意

 持病が増えるにつれて薬の量も増えていく高齢者。複数の睡眠薬を飲んでいた人が転倒して骨折するなど、薬の飲み過ぎによる副作用とみられる症例が相次いでいる。病気との飲み合わせが悪い薬が処方されたり、年齢とともに代謝が悪くなり規定量でも効き過ぎたりすることも。今後、投薬治療が中心の在宅患者が増えると予想され、薬剤師を中心に多剤併用を防ぐ取り組みが始まっている。

 福岡市の総合病院に、深夜に自宅で転倒して大腿(だいたい)骨を折った80代女性が搬送されてきた。持参した薬を調べると、市内の内科医院と整形外科医院から睡眠薬が重複して処方されていたことが判明。「薬が効き過ぎて、トイレに起きた際にふらついたのではないか。入院で足腰が弱くなったり、認知症を患ったりしなければいいが」と病院の薬剤師は案じた。

 多剤併用による副作用は、ふらつきや転倒、物忘れ、意識障害、食欲低下、便秘、排尿障害などがある。医師は患者の薬の全体量を把握せず、担当する疾患だけを見て治療薬を決めがちなため、内科や整形外科、歯科…と複数の医療機関や診療科にかかると多剤併用が起こりやすい。特定の病気の人は飲んではいけない「禁忌薬」が処方されることもある。

 「特に睡眠薬、痛み止め、胃薬など『ついでにもらう薬』が要注意です」と話すのは福岡市薬剤師会の田中泰三会長。持病で定期的に通院している医療機関で、「眠れない」「胃が痛い」などと訴えると漫然と長期処方されることが多い。患者側の「薬をたくさんもらうと安心」という過度の依存心も背景にある。

 6種類以上の服用、副作用が生じる確率10%
 

 東京大病院が高齢の入院患者を対象にした調査で、6種類以上服用すると副作用が生じる確率が10%を超えることが判明。厚生労働省の調べでは、75歳以上の4分の1が調剤薬局1カ所当たり7種類以上を処方されていた。

 多剤併用を防ぐ取り組みは各地で始まっている。北九州市では八幡地区の薬剤師や医師が4月、「北九州高齢者薬物療法研究会」を立ち上げ、減薬方法を探っている。代表世話人の末松文博さんが薬剤部長を務めるJCHO九州病院(同市八幡西区)では既に実践。転倒して大腿骨骨折で入院してきた80代男性について、重複処方されていた痛み止めやコレステロール低下薬を減らし、睡眠薬をふらつきが少ないタイプに変更して、17種類を10種類に減らした。

 「お薬手帳は必ず1冊にまとめる」
 

 協会けんぽ福岡支部も、診療データの分析で多剤処方や禁忌薬処方、副作用の実態をつかみ、対象者に改善通知をする調査事業を本年度から2年間、実施。「健康を守るだけでなく、不必要な薬が減れば医療費も減らせる」と強調する。

 重複処方や禁忌薬処方は、薬剤師が患者に「他に飲んでいる薬は?」と尋ねたり、「お薬手帳」の確認をしたりすれば防げる。ただ、本人が薬を覚えておらず、手帳の管理も不十分だと薬剤師が気付くのは難しい。

 福岡大薬学部の神村英利教授は「お薬手帳は必ず1冊にまとめることが重要。がん患者など多剤併用が必要な人もおり、量の多さは必ずしも問題ではないが、飲み忘れや副作用が起こりやすい。気になる人は自己判断で中断せず、薬剤師や主治医に相談して」と呼び掛けている。

=2017/09/25付 西日本新聞朝刊=

座り続ける生活で死亡リスク増2017年09月13日 

座り続ける生活で死亡リスク増、「30分毎に運動を」 米研究

日常生活の中で座って過ごす時間が長過ぎると、早死にするリスクが高くなるという研究結果を、米国のチームが11日に明らかにした。一度に連続して座る長さが30分間を超えた場合、リスクはさらに上昇するという。

米コロンビア大学医学部のキース・ディアス博士が率いるチームが、11日発行の米内科学会機関誌「AIM」に発表した。

チームは白人よりも黒人、とりわけ米国南部の黒人に脳卒中が多発する理由を探るため、米国立衛生研究所(NIH)の出資で実施された地域別、人種別の脳卒中研究プロジェクト「REGARDS」に着目。同プロジェクトに協力した参加者のうち、45歳以上の白人と黒人合わせて7985人の日常動作を、平均4年間にわたって追跡した。

対象者の腰に加速度センサーを装着し、座って過ごす時間の長さを計測したという。研究期間中に死亡した人の数を原因にかかわらず合計すると340人だった。

チームがデータを分析した結果、対象者全体の平均では、睡眠時間を除いた1日16時間のうち座っている時間が12.3時間、一度に座り続ける長さは11.4分だった。

従来の研究で成人は1日のうち平均9~10時間を座って過ごすとされてきたが、今回は中高年が対象だったこと、自己申告ではなくセンサーを使ったことにより、これを上回る数字が出たとみられる。

チームによれば、1日に座っている合計時間や、立ち上がらずに座り続ける時間が長くなるにつれ、年齢や性別、人種、体格指数(BMI)、運動習慣にかかわらず、死亡のリスクが高くなることが分かった。例えば1日に合計13時間以上座る人は11時間前後以下の人に比べ、死亡率が2倍に上昇していた。

また、一度に座り続ける時間が30分未満の人は、30分を超える人より死亡のリスクが55%低かった。90分以上座り続けることが多かった人の死亡率は、そうでない人の2倍近くに達していた。

両方の要因を合わせると、1日に計12.5時間以上座って過ごし、一度に30分以上座り続けていた人の死亡率が最も高かった。1日12.5時間を下回るグループでは、一度に座る長さの影響はほとんどみられなかった。

座るという行動が健康に影響を及ぼす仕組みは解明されていない。専門家の間でも、座っているうちに「インスリン感受性が低下する」「消費カロリーが低下する」など、さまざまな説がある。

それでは立ったまま作業ができる「スタンディングデスク」を使うのは有効か、という質問に対し、ディアス博士は「座った姿勢より健康的だという根拠は限られている」と述べた。

同博士は長時間座る生活が避けられない場合の最善策として、30分ごとに休憩を取って動き回ることを提案。「我々の研究は、この一点を改善するだけで死亡リスクが下がり得ることを示している」と強調した。 

CNN.co.jp 9/12(火) 16:21配信

この記事によると、スタンディングデスクが有効であるという根拠はないようですね。
これからは30分ごとに動き回ることを心掛けたいです。

(投稿者:斉藤 揚三)

熱中症対策にポカリスエット?2017年08月14日 

炎天下の中「ポカリ50円」の自販機 工事現場への思いやりが話題に 「熱中症対策自動販売機」設置の英断
無題

夏本番。建設現場で働く作業員にとって、熱中症対策は不可欠です。そんな中、ある建設現場の自動販売機の写真がツイッターで話題となっています。「熱中症対策自動販売機」と題したその自販機では、ポカリスエットをなんと50円で販売。作業員からも「助かる」と評判の取り組み、事業主として設置した大和ハウス工業によると、炎天下で働く作業員をサポートしようと、今夏から関東の約20現場に配置。現場事務所の所長は「口頭で注意喚起するよりも効果がある」と手応えを感じています。

with news 8/10(木) 9:44配信

熱中症対策にポカリスエットとのことですが、ポカリスエットを飲むと、甘すぎて、甘さが口の中に残り気持ちが悪くなります。
ポカリスエットのペットボトル1本500ml中の糖質量は31gだそうです。糖質31gというのは角砂糖8個分に相当する糖質量となります。
熱中症対策に必要なのは水分と塩分なので、糖質は必要ありません。ポカリスエットが甘いのは医学的な理由ではなく、甘くないと売れないからだと思われます。

そこで、熱中症対策に水に塩を溶かして飲むことをお勧めします。
水1Lにつき塩を3gを目標に入れます。(好みの問題ですが、塩が多いとまずいという人が多いです。そのためまずくなく飲める程度に入れるのが現実的かもしれません。)

塩はミネラル分が豊富な「ぬちまーす」をお勧めします。

また風味付けにレモンやライムを絞るか、グレープフルーツジュースを少量入れると飲みやすくなります。

・・・ということを書いてきましたが、水の味付けを工夫するより、「味噌汁(1杯で食塩 約2g)」を飲んで、あとは喉が渇いたときにひたすら「ただの水(または甘くないお茶)」を飲むのが一番いい方法です。

(投稿者:斉藤 揚三)

運動量を増やしても認知症予防に疑問2017年07月29日 

積極的に運動をしている人の認知症リスクが低いことを報告した研究は複数あったが、それらは逆の因果関係を見ていた可能性が指摘された。仏INSERMのSeverine Sabia氏らは、35~55歳の人々を平均27年追跡して、中年期の運動量とその後の認知機能の低下や認知症発症リスクに有意な関係は見られなかったと報告した。しかし認知症患者は、最長で診断の9年前から運動量の減少が起こっていた。結果は、BMJ誌電子版に2017年6月22日に掲載された。

 現在のところ認知症の治癒は叶わないため、予防や進行を遅らせるための介入の標的になる危険因子の探索が、精力的に行われている。観察研究を対象としたメタアナリシスでは、望ましい量の運動が認知機能の低下と認知症発症のリスクを低減することが示唆されている。しかし、運動量を増やす介入研究では、長期的な認知症予防効果は見られなかったものが多い。

 そこで著者らは、認知症患者は症状発現前から運動量が減少する特徴がある、という仮説を設定し、それらについて検証するために、ロンドンにオフィスがある英国公務員が参加して現在も継続中のコホート研究「Whitehall II」から、約30年にわたるデータを調べることとした。それらを利用して、運動量とその後の認知機能の変化や認知症発症率の関係を調べ、次に認知症と診断された患者の診断前28年間の運動量を、認知症を発症しなかった人と比較することにした。

 Whitehall IIは1985~88年に35~55歳だった参加者を募集し、応募した1万308人(男性6895人、女性3413人)の健康状態を追跡している。参加者は5年ごとに受診して診察を受け、直近の評価は2012~13年に実施していた。

 参加者の運動量の評価は質問票を用いて行い、28年超の間に7回実施した。家事や草むしりといった軽度の作業から、ランニングやスカッシュなどのスポーツまで様々な強度の運動を、どのくらいの頻度でどのくらいの時間実施したかを回答してもらい、運動量を推定した。MET(Metabolic Equivalent)換算で3未満は軽強度の運動とし、3以上は中~高強度として、それらの合計を総運動量とした。中~高強度運動を週に2.5時間以上行っていた場合に「望ましい運動量」と判断した。

 認知機能の評価は1997年(参加者の年齢は45~69歳)から2013年(60~84歳)までの間に最大4回行った。記憶力は20個の単語を2秒間隔で提示された後、2分間でできるだけ多くの単語を思い出す方法で評価した。実行能力はAlice Heim4-I テストにより評価した。音素流暢性は「sから始まる単語を書く」といった方法で、意味流暢性は「できるだけ多くの動物の名前を書く」といった方法で評価した。それらの生スコアを平均値0、標準偏差1の分布にzスコア化して、さらにそれらの合計を再標準化して認知機能の全般スコアとした。

 認知症の発症者は、2015年3月31日までのNational Health Surviceの医療記録や死亡記録を調べて同定した。共変数として、社会人口学的要因(年齢、性別、人種、配偶者の有無、就労状態と年収、学歴など)、ライフスタイル要因(飲酒、喫煙、食習慣など)、併存疾患などに関する情報を得た。

 平均値で26.6年の追跡期間中に329人が認知症と診断されており、診断時の年齢は平均75.0歳(四分位範囲72.0~79.2歳)だった。運動量と認知機能の低下の関係は、1997~99年の1回目の認知機能評価を受けていた7424人を対象に行った。うち、3144人(42%)は4回の認知機能検査を完了しており、2168人(29%)は3回、1091人(15%)は2回、1021人(14%)は1回検査を受けていた。

 「望ましい運動量」を実施していた参加者としていない参加者を比べても、認知機能の全般スコアに有意な差はなかった。1997~99年から15年間で全般スコアは平均で0.61(95%信頼区間0.59-0.63)減少していたが、運動量とスコアの減少に有意な関係は見られなかった。

 1985~88年の運動量と2015年まで追跡した認知症患者の発症率の関係を調べたが、それらの間にも有意な関係は認められなかった。望ましい運動量を実施していた人をリファレンスにした、実施していない人のハザード比は1.00(95%信頼区間0.80-1.24)だった。

 認知症を発症した患者とそれ以外の参加者の間で、追跡期間中の1週間あたりの総運動時間、低強度の運動をした時間、中~高強度の運動をした時間を比較すると、診断の9年前から認知症患者の運動時間は減少し始め、認知症と診断されなかった人々との差は、それ以降有意になった。診断の9年前の、両群の中~高強度の運動時間の差は-0.39時間/週(P=0.05)で、診断時点ではその差は-1.03時間/週(P=0.005)に拡大していた。

 これらの結果から著者らは、望ましい運動量を行っている人でも認知機能を保護する効果はなかった。認知症患者では症状が明らかになる前から運動量が低下しているため、運動に認知症リスクを減らす効果があるように見えたことが示唆されたと結論している。

原題は「Physical activity, cognitive decline, and risk of dementia: 28 year follow-up of Whitehall II cohort study」

2017/7/18 日経メディカルより

これはおもしろい論文です。卵が先かニワトリが先かという議論と一緒ですね。
つまり、認知症になると運動しなくなるので、運動しない人が認知症になるようにみえるということです。
先日紹介した大崎市での研究とは相反する結果です。
運動で認知症が予防できると思いたいのですが・・・。

(投稿者:斉藤 揚三)

ウォーキングで認知症予防2017年07月05日 

1日1時間のウォーキングで認知症リスク低下:東北大

認知症の1次予防において、成人期の身体活動の長期的変化の影響は、これまで検討されていなかった。東北大学の遠又 靖丈氏らは、中年期以降の歩行時間の変化と高齢者の認知症との関連について検討を行った。Age and ageing誌オンライン版2017年5月5日号の報告。

 大崎市在住の65歳以上で障害のない日本人6,909例を対象に、コホート研究を行った。1994年と2006年に自己報告アンケートを用いて、1日当たりの歩行時間を個別に評価した(0.5時間未満、0.5~1時間、1時間以上)。この2時点における3つのカテゴリを基に、対象者は歩行時間の変化に応じて9群に分類された。認知症に関するデータは、対象者を5.7年間追跡調査(2007年4月~2012年11月)した公的な長期介護保険(LTCI)データベースより検索した。認知症の多変量調整後のハザード比(HR)を推定するため、Coxモデルを用いた。

 主な結果は以下のとおり。

・5.7年間の認知症発症率は、9.2%であった。

・歩行時間が最も短い群(1994年と2006年の2時点ともに0.5時間未満)と比較して、最も長い群(2時点ともに1時間以上)は、認知症発症リスクが有意に低く、多変量調整後のHRは0.72(95%CI:0.53~0.97)であった。

 著者らは「これらの結果は、中年期以降の高レベルな身体活動を維持することが、高齢期における認知症予防のための重要な戦略であることを示唆している」としている。

ケアネットニュース 2017/06/05 より転載

当院のある栗原市の隣の大崎市での研究なので身近に感じます。
1日1時間以上歩くと、認知症の予防になるという報告です。
将来認知症になりたくない人はとにかく歩くしかないですね。

(投稿者:斉藤 揚三)

年齢調整死亡率についての考察2017年06月17日 

「死亡率」ワーストは青森 長野、“健康県”1位 厚労省27年調査

各都道府県で年齢構成を調整して比較した死亡率が平成27年に最も低かったのは、男女とも長野県で、最高は青森県だったことが、14日公表された厚生労働省の調査で明らかになった。年齢調整死亡率は5年ごとに出され、トップの長野は男性が2年以降6回連続、女性は2回連続だった。

 年齢調整死亡率は、年齢の要素を排除して、都道府県の人口10万人当たりの死亡数で算出した。昭和35年から始まり今回で12回目。国民の健康水準の指標とされる。

 全体的な死亡率は、男性486、女性255で、前回(22年)と比較すると、男性は58・3ポイント、女性は20ポイント低下し、状況は改善されている。

 死因別ではがん、心疾患、脳血管疾患の三大要因による死亡率は、いずれも前回より低下した。脳血管疾患では、東日本が西日本より高い傾向にある。

 都道府県別にみると、男性は長野、滋賀、奈良の順に死亡率が低く、青森、秋田、岩手の順で高い。女性は長野、島根、岡山が低く、高い方では青森、福島、茨城の順になっている。東北地方の死亡率が宮城を除いて高く、同省は「食事の味付けの好みによる塩分摂取量や運動習慣などが原因」とみている。 

産経ニュース 2017.6.14 16:40 より

このニュースをみると、宮城を除く東北地方の死亡率が高いようです。塩分摂取量と運動不足によると考察していますが、その他にも様々な要因が絡んでいると考えます。

ご飯を多く食べるためには、味付けの濃いおかずが必要で、塩分摂取量が多い=糖質摂取量が多いということだと思います。寿命には塩分そのものだけではなく、糖質も関係しているのではないかと考えています。

運動不足に関してはそのとおりだと思います。東北は冬は雪に閉ざされ、外出できない地域が多いため運動不足になります。また、「47都道府県の面積100平方kmあたりの鉄道駅数と歩数との間に負の相関がある=鉄道駅が多いほど歩く時間が長い」という報告があり、東北は鉄道網が発達していなく、車社会になっているのも運動不足と関係していると思われます。

その他の要因では、喫煙率(国民生活基礎調査、2013年度)が青森県2位、福島県3位、宮城県4位、岩手県6位、秋田県9位と高いのも影響していると思われます。

また、飲酒習慣者の割合は、青森1位、秋田4位、岩手5位、宮城8位と、これも高いです。

厚生労働省の調査(平成24年国民健康・栄養調査)をみると、視覚的に東北地方がいかに不健康なのかが分かります。唯一、野菜を多く摂取しているのがいい点ですが、その効果を打ち消してしまっているようにみえます。

(投稿者:斉藤 揚三)

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