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在宅医療専門
くりはら訪問クリニック

スタッフブログ

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お菓子を食べなくする方法2018年09月03日 

当院では訪問診療時に食事指導もおこなっており、その中で、できるだけお菓子を食べないように指導しています。

しかし、どうしてもお菓子が止められない、また、「甘いものを我慢してまで長生きしなくていい」という患者さんもいます。

お菓子の誘惑にあらがえないのは、それに強い中毒性があるためで、誘惑に負けた患者さんを責めることはできません。

そういった方がどうやってお菓子を止められるのかと言えば、まずはお菓子自体を買わなければよいのではないかと思っています。

家にお菓子がなければ、いくら食べたくても食べられません。

もちろん、買い物に行けばお菓子は手に入りますが、「買い物に行くのも面倒なので食べなくてもいいか」となることをねらいます。つまり、お菓子を食べることにハードルを設け、簡単に食べることができない環境を作ればいいのです。

例えば、勉強部屋にスマホや漫画本を持ち込まないことで勉強に集中できるといったように、何事も、自分の意志でコントロールするよりは、環境を整えたほうがうまくいくことが多いです。

さらに、ナッツ、チーズ、小魚、ゆで卵などを常備しておいて、お菓子を食べたくなったら代わりに食べるというのもお勧めです。

一方、病院では、退院時などに患者さんやご家族からお菓子の差し入れがよくあります。私が勤めてきた病院でも、休憩室やナースステーションなどには常にお菓子がありました。

ですから、医療従事者ほど、環境を整えることが難しい職場にいるといえるのかもしません。

(投稿者:斉藤 揚三)

ノベルジン錠について2018年08月29日 

最近、低亜鉛血症に対して、亜鉛製剤であるノベルジンという薬が処方できるようになっています。

当院では潜在的な亜鉛不足を積極的に疑い、問診をした上で、疑わしい場合には血中亜鉛濃度も測定しています。そうすると、亜鉛欠乏の方が少なからずいます。慢性肝疾患、糖尿病、腎不全、慢性炎症性腸疾患があると、亜鉛欠乏に陥りやすいと言われています。慢性炎症性腸疾患以外は、高齢者によくみられる疾患のため、当院でもよくみるのだと思います。単純に亜鉛の摂取不足という方もいるかと思います。

血清亜鉛値の正常値は80~130μg/dLで、60μg/dL未満であれば、亜鉛欠乏症と診断できます。また、ALP(アルカリフォスファターゼ)は活性中心に亜鉛を持つことから、ALPが低値であることも亜鉛欠乏症と診断する根拠となります。

亜鉛欠乏でよく目にする症状は、食欲不振、味覚障害、皮膚炎、口内炎などです。

低亜鉛血症があり、このような症状がある方に、亜鉛を補充すると、たちまち良くなる方もいます。

今までは、亜鉛を補充したい場合は、亜鉛含有胃潰瘍治療剤のプロマックDを処方するしかありませんでしたが(保険適応外ですが)、現在はノベルジンを処方できます。

しかし、ノベルジンの欠点として薬価が非常に高い(25mg錠で269.5円、50mg錠で422.3円)ことがあげられます。25mg錠を1日2錠処方するとしたら、1か月の薬価は16170円となります。この点を気にするのであれば、今までどおりプロマックDを処方するしかないでしょう。

ちなみに、プロマックD錠75mg 1日2錠処方すると、亜鉛含有量は約34mg/日、薬価は58円/日となります。

また、亜鉛が過剰になると、銅が欠乏するので、漫然と投与するのは勧められません。

(投稿者:斉藤 揚三)

NEAT(ニート)について2018年08月27日 

ニートと聞くと、仕事をしないでぶらぶらしている人を想像しますが、ここで取り上げるのはNEATです。

NEAT(ニート)とは、Non Exercise Activity Thermogenesis(非運動性活動熱産生)の略で、家事や通勤などの日常生活における動作によって産生される熱量のことを言います。

健康のために運動をすることはとても大事ですが、いざ運動しようとして、いきなりランニングなどの激しい運動をすることは勧められません。心筋梗塞を起こすリスクがあったり、膝関節を痛めるかもしれません。

そこで勧められるのは、日常生活の中で上述したNEATを意識的に増やすことです。例えば、エレベーターを使わずに階段を使う、出社や帰宅時に一駅前で降りて歩くなどはよく言われています。スーパーに買い物に行く場合は、わざと遠くに車を止めて歩く距離を増やすなども考えられます。

このように、日常生活の中でいかにこまめに体を動かせるかが大事になってきます。そう考えると、家事も筋トレだと思えてくるので、家事をすることが楽しくなってきます。特に男性は家事を積極的にしたほうがいいです。

アメリカの研究で、女性は結婚すると家事の時間や負担が増え、これが女性のストレスやうつ病に結びついていることが分かったそうです。そして、女性のストレスを減らすためには、男性が女性と同じくらい家事を分担していると女性が感じることが大切なのだそうです。

男性が家事をすることは、運動にもなり、妻の満足度も上がり、いいことずくめなのです。

(投稿者:斉藤 揚三)

医師も介護保険の仕組みを知っていた方が良い2018年08月20日 

医師は疾病の治療だけではなく、介護保険の仕組みも知っていた方が良いです。

病院の整形外科外来を想定して話を進めます。

腰椎圧迫骨折で痛みのため動けなくなっている患者がいた時に、病棟のベッドが空いていないために、自宅に帰ってもらうということが往々にしてあります。整形外科病棟のベッドは基本的に手術を受ける方のためにあります。手術の必要がない圧迫骨折の方を多く入院させていたら、入院が必要な患者さんが入院できなくなってしまいます。

さて、自宅に帰って寝ていれば、いずれ骨折は治るかもしれませんが、褥創ができたり、廃用が進んで寝たきりになってしまうかもしれません。

それではどうすれば良いのかといえば、介護サービスをうまく利用します。

介護保険を使えば、介護用ベッドや褥創予防の高機能エアマットレス、リハビリのための歩行器などを安く借りられたり、訪問リハビリを導入できたり、家族が自宅でみきれない場合にはショートステイに行くという手もあります。

介護保険を使うためには介護認定を受けておく必要があります。介護認定を受けていなかった場合は、介護認定の申請をアドバイスします。65歳以上であれば、だれでも申請できます(40~64歳でも条件付きで申請できます)。

介護認定により介護度が決まるまでは約1か月かかりますが、認定される前にも見込みで介護サービスを利用することができるので、まずは申請しておくことが必要です。

ほとんどの病院にはMSW(医療ソーシャルワーカー)がいて、相談窓口などがあるので、そこで相談するように話しておけば、申請の方法なども教えてくれます。

このような、療養上のアドバイスをすることも医師の大切な役割の一つです。

(投稿者:斉藤 揚三)

死亡診断書にまつわる話2018年08月16日 

以前、役所の方に、私が書いた死亡診断書に不備があり受理できないと言われたとのことで、ご遺族がクリニックに死亡診断書を持ってやってきたことがありました。

ちなみに、死亡診断書の不備でよくあるのが、午後に看取った際に、午後1時と書くべきところを、午後13時と書いてしまうというのがあります。

さて、どこに不備があったのか聞いてみると、「自宅の住所が宮城県から書かれていない」とのことでした。

それまでは、市から書き始めて、問題になったことはありませんでしたので、非常に驚きました。

死亡診断書の記入マニュアルにも住所を県から書かなければならないなど書いてありませんし、厚生労働省に問い合わせてみたところ、県から書かなければならないという決まりはないという回答ももらいました。

○○市というのが、2つあるというならいざ知らず、県から書かなけらばならない合理的な理由が見つかりません。

こんなくだらないことのために、ご遺族がわざわざ役所とクリニックを行ったり来たりしていて、無駄な労力を使わされているのです。

これにはかなり頭にきて、役所の方と論戦してもよかったのですが、それこそ無駄な労力になると思い、なんとか怒りをしずめて、宮城県を追記しました。

このことがあって以降は、県から書くようにしています。

(投稿者:斉藤 揚三)

SIRS診断基準の実臨床での使い方2018年08月13日 

施設スタッフに、「患者さんが何℃以上であれば連絡したほうがよいですか?」と聞かれることがよくあります。

一応、「38℃以上になれば連絡してください」などど答えていますが、実際は、医師は熱だけで重症度を判断しているわけではありません。他のバイタルサインと合わせて、重症度を判断しています。

38℃以上の熱がでている方がいた場合、脈拍や呼吸数に注目してください!

脈拍が90回/分以上だったり、呼吸数が20回/分以上の場合は、重症の可能性があります。

この根拠はSIRS(全身性炎症症候群)の診断基準です。

SIRS
①体温>38℃または<36℃
②心拍数>90/分
③呼吸数>20/分またはPaCO2<32 torr
④白血球数>1,2000,<4000/mm3または未熟顆粒球>10%
の2項目以上をみたす病態と定義される。

SIRSは敗血症の診断に古典的に用いられていた指標(現在はqSOFAを使う)ですが、熱が出ている際の重症判断のスクリーニングに使うのが良いです。

冒頭の質問には、「体温が38℃以上でなおかつ、脈拍が90以上、あるいは呼吸数が20以上であれば連絡してください」と本来は答えたいのです。

(投稿者:斉藤 揚三)

ねころんで読める新しいリハビリ2018年08月10日 

『ねころんで読める新しいリハビリ 上月正博 メディカ出版』

無題

筆者は東北大学大学院医学系研究科内部障害学分野教授の上月正博先生です。

この本は、猫のイラストなどがあり、気楽に読める本にも関わらず、とても内容が濃く勉強になります。

副題には、「内部障害リハビリテーションの驚くべき効果」とあります。内部障害とはあまり聞きなれない言葉ですが、心臓、腎臓、肝臓、肺、膀胱、腸などに障害があることを言います。たとえば、心不全、腎不全、呼吸不全などが内部障害にあたります。高齢者は内部障害を有する方が多く、高齢化社会とともに、必然的に内部障害のある方の数も増えてきています。当院が在宅医療で診ている患者さんも、ほとんどが内部障害を持っています。

今まではリハビリというと、脳卒中で麻痺が起きた方、または整形外科の手術後の方に行っているというイメージがありましたが、高齢化社会になるに伴い、内部障害の方のリハビリが増えてきています。本書では、内部障害リハビリテーションの驚くべき効果について書かれています。生活機能予後、さらには生命予後も改善します

本書にでてくるリハビリのプログラムを見てみると、まず量がすごいことに気が付きます。東北大学病院リハビリテーション科病棟では、心臓リハビリテーションで入院した患者は毎日1万歩を歩いてもらうそうです。また、認知症の方に対する下肢運動プログラムでは、エルゴメータ(自転車)運動を1日1時間行うそうです。以前、ブログで取り上げた「間違いだらけのリハビリテーション」でも起立ー着席運動を1日400~600回行うことを勧めています。やはり、リハビリで結果をだすには圧倒的な量が必要なのでしょう。

これだけの量をやってもらうには、医療スタッフの熱意がなによりも必要です。本書にも書いてあるように、患者にリハビリを勧める前に、「まず隗より始めよ」の言葉どおり、医療スタッフ自身が運動することが重要なのかもしれまん。

ちなみに、本書で、透析中にエルゴメータを用いて運動療法をしている写真が載っていましたが、これなら在宅で寝たきりの方にも応用できるかなと思いました。
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(投稿者:斉藤 揚三)

高齢者救急2018年08月08日 

高齢者救急が難しいのは、高齢者は症状が非典型的であったり、認知症があるとうまく症状を訴えられないなどの点にあります。

例えば、高齢者の肺炎では約1/3で咳や発熱がなかったりします。咳や熱がないからと言って、肺炎は否定できないのです。

今回は、高齢者を介護する際に、どういった点に注意してみていけばよいのかについてあげてみます。

なんとなくいつもと違う。様子がおかしい。

これは軽度の意識障害の可能性があります。高齢者の感染症では、初期に、このような軽度の意識障害が現れることがあります。

急にぼけた。

通常、認知機能は徐々に低下します。しかし、急にぼけたとなると、これは、せん妄の可能性があります。せん妄は通常、急に環境が変わったりした場合や夜間に起こることが多いです。環境の変化もなく、日中に起きたりした場合は、内科疾患(感染症、心血管疾患、低血糖など)が隠れているかもしれません。

急に立てなくなった。歩けなくなった。

老化はゆっくりと進行するので、徐々に歩けなくなるのが普通です。急に歩けなくなる場合は、感染症、心血管疾患などが背景にある可能性があります。

・しきりにあくびをしている。

あくびは脳に酸素が足りていないというサインです。循環がうまくいかなくなってきているのかもしれません。

不安を訴える。多弁になる。

これも脳血流低下のサインかもしれません。

このようなサインにうまく気づくことができれば、悪くならないうちに早めに対応することができます。しかし、こういったサインに気づかずに様子をみていると、急変する場合もあります。

こういったサインを見た場合は、まずはバイタルサインをチェックするのが基本です。その中でも、最も重要なのは呼吸数です。呼吸数が20回/分以下ならひとまず安心してよいでしょう。

(投稿者:斉藤 揚三)

ショパン・ワルツOp.64-2を弾きました。2018年07月28日 

7月22日にピアノの発表会があり、ショパン・ノクターンOp.9-2を弾きました。

あれこれ気を付けようと思っていたのですが、緊張もあり、間違わずに弾くのが精いっぱいでした(実際にはいっぱいミスをしていますが・・・)。

拙い演奏ですが、よろしければお聴きください。

(投稿者:斉藤 群大)

病気スレスレな症例への生活処方箋2018年07月27日 

『病気スレスレな症例への生活処方箋 浦島充佳 医学書院』

無題

この本は、病気になりかけている患者さんに、いかに生活指導をしていくのかについて書かれています。本書が対象としている病気スレスレの人でなくても、病気の人でも生活指導は大切です。医師の診療はともすれば、「薬を処方して終わり」ということになってしまいがちですが、病気を治療する以前に、生活習慣を改善させなければなりません。ここをおろそかにして、病気の治療をしてもうまくいかないのです。

とはいっても生活指導は、どのようにしたらよいのか分からないというのが現状ですが、この本では具体的な指導方法が書かれています。

例えば、

処方箋
#1 近所の公園まで散歩する
1か月後受診まで有効

処方箋
#1 外食、おやつ、間食、軽食を1日1回、果物、野菜、ナッツに変える。 
1か月後受診まで有効

といった具合です。薬ではなく、本来このような処方箋を書きたいものです。

この生活処方箋のメニューは自ら試すことで、説得力もでますし、引き出しを多く持つことにもなります。

また、生活処方箋を出した際に、達成できるかを「絶対無理を0%、絶対できるを100%とした時に自信のほどは何%かをたずね、60%未満であれば見直す」という記載が参考になりました。いくらいいことでも、一方的に押し付けてもうまくいかないのだと思います。

「医者の不養生」という言葉があるように、医師は激務に追われて、自分の体のことを二の次にしてしまい不健康になりがちです(昔の自分がそうであったように)。しかし、健康だからこそ患者さんを診れるのであって、健康な状態を維持するのも仕事のうちだと思っています。この本はエビデンスとともに書かれているので、エビデンスがないと信用しない医師にも説得力があります。そういった意味で、医師自らが健康になるために読む本とも言えるのかもしれません。

 (投稿者:斉藤 揚三)

 

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