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月別アーカイブ:2018年12月

硫黄島の遺骨探索を本格着手 来春から新型レーダー投入2018年12月31日 

先の大戦で激戦地となった硫黄島(いおうとう、東京都小笠原村)で、政府が来年4月から新型の高性能レーダーを使った遺骨探索調査に着手することが30日、分かった。硫黄島では遺骨収集が難航しており、戦没者約2万1900人のうち、今も1万柱を超える遺骨が眠ったまま。島内に敷設された滑走路の地下に遺骨が多く埋まっているとみられ、新型レーダーを使って本格的に調査する方針だ。

 政府関係者によると、これまでは地下10メートル程度しか探索できないレーダーを使用していたが、防衛省が15メートル以上探索できる新型レーダーを開発、完成させた。1月からテストを始め、4月から現地に投入する。レーダーで遺骨があるとみられる地下壕(ごう)が確認されれば、ボーリングでさらに調査する。

硫黄島では、日本軍が多くの地下壕を築いて戦いを展開。面積22平方キロの島内に総延長18キロもの地下壕を構築して米軍を迎え撃った。米軍による砲撃で多くの壕は埋没している。

 平成22年度に当時の民主党政権が硫黄島での「事業強化」を表明し、収集数は一時伸びた。28年に遺骨収集を「国の責務」と記した戦没者遺骨収集推進法が成立したものの、近年の収集数は年数十柱程度にとどまっている。硫黄島の戦いで指揮を執った栗林忠道(ただみち)陸軍中将や、ロサンゼルス五輪馬術金メダリストの「バロン西」こと西竹一中佐の遺骨も見つかっていないとされる。

 遺骨収集が難航している理由の一つに、島に敷設された自衛隊機発着用の滑走路(昭和43年運用開始)の地下探索・調査が進んでいなかったことがある。

旧型レーダーでは滑走路の地下で約100カ所の反応があったが、深度や精度の点で不十分で、さらに奥深くに多くの遺骨が埋まっている可能性がある。平成29年12月に厚生労働省の職員らが、滑走路の地下約5メートルの壕から探索を実施し、地下約16メートル付近で2柱の遺骨を発見したことも新型レーダーの開発を促した。

 ただ、本格的な遺骨の発見・収集には、滑走路の移設が必要になる。移設には10年間で500億円の予算が必要なこともあり、政府は新型レーダー調査などを経て、今後数年間で移設の可否を探る。

2018.12.30 産経ニュース

戦後70年以上経ち、ようやくここまでこぎつけたのかというのがこのニュースを読んだ率直な感想です。しかしここまでこぎつけたのも、青山繁晴議員の問題提起があったからだと思います。硫黄島の戦いについては、以下の動画をご覧ください。

今、我々が平和に暮らしていけているのは、日本のために戦ってくれた先人がいたからです。どんなに費用がかかろうとも、滑走路を引きはがし、できうる限り遺骨を帰していただきたいです。

(投稿者:斉藤 揚三)

フェントステープ0.5mg2018年12月28日 

無題2フフェントステープの新用量「0.5mg」が2018年12月17日に発売されたようです。

発売されるのは分かってましたが、いつなのかは分かりませんでした。

最近、当院にご紹介された患者さんに、フェントステープ0.5mgが処方されていて、発売されていたことに気が付きました。

今まではフェントステープは1mgが最小規格でした。これは経口モルヒネに換算すると30mgになり、初回投与量としては多すぎることが問題でした。

そこで、半面貼付などの方法があったわけですが、フェントステープに0.5mgがでたことで、半面貼付は不要になり、より細かい調整ができるようになります。

とくに在宅医療では、フェントステープは使いやすい薬剤なので、これから当院でも処方する機会が増えそうです。

※フェントステープの添付文書には、「他のオピオイド鎮痛剤から切り替えて使用する」と書かれているので、フェントステープをオピオイドの導入として使うのは保険適応外とはなります。

(投稿者:斉藤 揚三)

科学的認知症診療 5Lessons2018年12月24日 

『科学的認知症診療 5Lessons 小田陽彦 Signe』

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この本は、一般臨床医に向けて書かれている認知症診療の本です。非常に読みやすく、実臨床で役立ちそうな記載がたくさんありました。特に良いのが、具体的な数字が載っていること(レビー小体型認知症に幻視が現れる確率は70%など)と、論文が明記されていることです。引用している論文はかなりの数です。私見ではなく、科学的根拠から結論を導いているので、説得力があります。

認知症診療に関して、様々な事に言及していますが、筆者が最も言いたいところは、「一般臨床医は抗認知症薬を使わないのが基本」だと思います。抗認知症薬を使っても、臨床的に意味のある認知機能改善は期待できず、副作用も懸念されるからです。抗認知症薬が日本で承認された際の非科学的な過程も考慮すべきだと分かりました。

他にも、抗コリン薬の問題、ベンゾジアゼピン受容体作動薬の問題、アルコールの問題、ポリファーマシーの問題なども取り上げられています。

同じ出版社からは、『高齢者診療で身体診察を強力な武器にするためのエビデンス』という素晴らしい本が出ていますが、本書の構成やコンセプトはそれに近く、タイトルを変えるのであれば、『認知症診療で強力な武器を持つためのエビデンス』になるでしょうか?

少しでも認知症診療に携わっている方であれば、是非とも読んでおくべき本だと思います。私もこれから何度も読み返していきたいと思っています。

(投稿者:斉藤 揚三)

減薬の一例2018年12月17日 

症例:82歳 女性

既往歴:認知症、高血圧、便秘症、不眠症

当院初診までの経過:
グループホームに入所しながら、近医に通院していた。
H30.8中旬頃~急激にADLが低下(それまでは排泄が一部介助、食事は自立、手引き歩行できていたのが寝たきり状態になり食欲も低下)した。H30.9初めに総合病院の脳外科に紹介され、慢性硬膜下血腫がみつかったが、治療を要しないとの判断となった。また、H30.8中旬(ADLが低下するのと同時期)から微熱が続いており、近医から抗生剤が処方されたが、解熱していない。寝たきり状態で通院も難しくなったため、H30.9中旬に当院に訪問診療の依頼があった。

<近医の処方内容>
メマリーOD錠 20mg 1錠
エビスタ錠60mg 1錠
アムロジン錠5mg 1錠
フェロミア錠50mg 1錠 分1 朝食後
酸化マグネシウム2g 分3 毎食後
リバスタッチパッチ18mg

以下は施設の判断で中止となっていた。
レンドルミンOD錠0.25mg 1錠
リスパダール内用液1mg 0.1% 1ml 分1 就寝前
メイアクトMS錠100mg 3錠 分3 毎食後
アドナ錠30mg 3錠 分3 毎食後

当院初診時からの経過:

経過からPMR(リウマチ性多発筋痛症)も疑われましたが、肩関節・股関節周囲に圧痛なく否定的でした。施設の判断で中止されていた、レンドルミン、リスペリドンは、内服しなくても夜は眠れているとのことだったので中止のままとしました。メイアクトも効果がないようなので、中止のままとしました。アドナも中止のままとしました。

認知症は高度で、意思疎通がわずかにできる程度だったので、抗認知症薬のメマリー、リバスタッチパッチは中止。寝たきり状態で骨粗鬆症治療の必要性も低いためエビスタは中止。血圧は低めだったので、アムロジンは中止。血液検査では、フェリチンは100以上あり、炎症に伴う上昇は否定できませんが、フェロミアは中止しました。

結果的に、酸化マグネシウムのみの処方となりました。酸化マグネシウムは便の性状をみながら、施設で調節してもらうこととしました。

ご家族には、老衰状態と考えられ、徐々に食事摂取量が少なくなる可能性を話しました。その場合は、中心静脈栄養や胃瘻造設の希望はなく、少量の点滴で見守る方針としました。

結果的に、10剤から1剤への減薬となったわけですが、H30.12現在、よく話をするようになり、食事摂取量も良好で、寝たきり状態ではありますが、体の動きも良くなっています。

将来的には、食事が摂れなくなり衰弱していくと思われますが、減薬するだけでも、元気でいる期間を伸ばすことができました。

(投稿者:斉藤 揚三)

未来年表 人口減少危機論のウソ2018年12月10日 

『未来年表 人口減少危機論のウソ 髙橋洋一  扶桑社新書』

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この本は、ベストセラーとなった、「未来の年表(講談社現代新書)」を意識して書かれていると思われます。「未来の年表」は、将来の日本の人口を予想し、未来に起こりうることが年表として書かれており、どちらかというと将来の人口減少に対して不安をあおるような内容でした。一方、本書では「未来の年表」に書かれている事態は想定内のことで、特に問題はないと述べています。

人口減少は必ずしも不幸な事ではないといった根拠として、人口増減率と経済成長率は相関がない、デフレと人口減少も無関係、人口減少で社会保障は破綻しない、といえるデータを示しています。

興味深かったのは、出生率は政府がコントロールできないというところです。政府が出生率をコントロールできるとしたら、中国の「一人っ子政策」のように強制的に減らすことだが、それも民主主義の日本では無理。増やすようにするには、婚外子を認めるか、人工中絶を禁止するなどの政策が考えられるが、そこまでする必要があるのかというのが筆者の考えです。

確かに、人口が減ればそれだけ需要が減りますが、供給側も同じように減るので(つまりライバルが減るということ)、生き残っていけるというわけです。そもそも人口が増えようが減ろうが、駄目なサービスは駄目なわけで、人口減少危機論に惑わされず、今の自分の仕事に集中するほうがベターです。

本書を読んで、将来の人口減少をことさら不安視しなくてよいと分かり、少し明るい気持ちになりました。

(投稿者:斉藤 揚三)

風邪に総合感冒薬やうがい薬を使ってよいのか?2018年12月03日 

風邪のシーズンがやってきました。

患者さんから「総合感冒薬を使ってよいか?」と聞かれることがよくあります。

結論から言うと、使うことはオススメしません。

というのは、総合感冒薬の中には、鼻汁を減らすことを目的としてなのか、抗ヒスタミン薬が入っていることがほとんどだからです。

抗ヒスタミン薬には抗コリン作用があり、抗コリン作用によって、眠気が強くなったり(傾眠)、ふらついて転倒したり、おかしな行動をとったり(せん妄)、尿がでなくなったり(尿閉)することがあります。

特に高齢者では上記の副作用がでやすいので注意が必要です。

そのため当院では風邪の方には、主に漢方薬を処方しています。

また、「イソジンなどのうがい薬を使ってもよいか?」という質問もよくありますが、これは以下の点からオススメしていません。

うがい薬は消毒薬と同じですが、病原菌を殺すだけではなく、常在菌も殺してしまいます。そうすると、消毒薬に耐性のあるさらに強力な病原菌がはびこることになります。

また、うがい薬自体には組織障害性があり、正常な組織を傷めてしまいます。

つまり、うがい薬を使うことは、せっせと喉を傷めつけているようなものなのです。

そもそも、うがいが風邪の治療や予防にどの程度効果的なのかは議論のあるところです。それでもうがいをしたいという人は、うがい薬を使用せずただの水道水で行った方がいいとは言えるでしょう。

(投稿者:斉藤 揚三)

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