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月別アーカイブ:2018年11月

認知症 一般病院で拘束45%の記事2018年11月27日 

<45%、身体拘束経験 一般病院に入院時 がんセンター調査>

認知症の人が病気やけがで一般の病院に入院した際、45%の人が自由に体を動かせないようにされる身体拘束を受けていたとの調査結果を、国立がん研究センターと東京都医学総合研究所の研究チームがまとめた。転倒などのリスク回避が主な理由だが、研究チームは「拘束が習慣化している可能性があり、身体機能の低下や認知症の進行などデメリットを検討して不必要な拘束を減らす取り組みが必要だ」としている。

 身体拘束は、介護施設では原則禁止。精神科病院については法律上も限定的に容認されているが、一般病院では医師や看護師らの判断に委ねられている。

 昨年2~3月、100床以上ある全国の一般病院3446カ所に調査票を送り、937カ所が回答。認知症かその疑いのある入院患者2万3539人のうち、45%の1万480人が身体拘束を受けていた。

 拘束方法を複数回答可で尋ねると、最多は「ベッドから下りられないように柵で囲む」で69%。「車椅子にベルトなどで固定する」(28%)、「点滴などのチューブを抜かないようミトン型の手袋を着ける」(26%)が続いた。拘束理由は「転倒・転落のリスク」(47%)、「チューブを抜くリスク」(14%)、「チューブを抜いたから」(10%)の順。職員の配置数や専門性に関係なく行われていた。

 2016年度の診療報酬改定で新設された「認知症ケア加算」では、身体拘束すると報酬上乗せ額が低くなる。しかし、この加算を取得した病院でも42%の人が拘束を受けており、効果は限定的だった。

 研究チームの小川朝生・国立がん研究センター東病院精神腫瘍科長は「病院側には治療のために身体拘束は当然必要だという意識があり、さらに転倒に対する家族からのクレームを恐れるあまり、過剰な拘束をしている可能性がある。拘束が退院後の生活に与える影響について、医療者や患者家族が正しく理解した上で必要な対処を議論すべきだ」と話す。

毎日新聞

こういった記事をみて、過剰な拘束をしていると病院を責めることはナンセンスです。以下の記事をご覧ください。

<病院に2770万賠償命令 熊本、入院中転倒で後遺症>

熊本市で2013年、認知症で入院中に転倒し、全身まひの障害を負った熊本県菊陽町の男性(95)と親族が、病院を経営する医療法人佐藤会(同市)に約3890万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、熊本地裁は17日、約2770万円の支払いを命じた。

 判決によると、男性は13年5月、認知症の投薬治療のため入院した際、車いすに乗って1人でトイレに行き転倒。頭を打ち、全身まひの障害が残り、寝たきりの状態となった。

 小野寺優子(おのでら・ゆうこ)裁判長は判決理由で、男性は歩く際にふらつきが見られ、転倒する危険性は十分予測できたと指摘。その上で、病院では看護師数が足りない状況が常態化していたとし「今回の事故でも速やかに介助できるよう見守る義務を怠った」と述べた。

共同通信2018年10月17日

こういった判例もあるので、事故を起こさないようにするために過剰な拘束をせざる得ないのは当然です。

それでも身体拘束が人道的に問題で、減らすようにしたいのであれば、「拘束の同意書」をとるのではなく、逆に、「拘束をしない同意書」をとるしかないと思います。これは、拘束をしないことで事故(転倒、転落、チューブの抜去など)が起きたとしても、病院は責任を取らないという同意書です。

つまり、縛り付けたとしても事故を起こさないようにするのか、人間らしく生きるために事故を許容するのか、の2択から選択してもらうのです。

さて、判例では、95歳の認知症の方が自分でトイレに行き、不幸にも転倒してしまい、打ちどころが悪くて麻痺が残ったという経過でした。判決では、「見守る義務を怠った」とありますが、24時間転倒しないように見守ることなど不可能です。医療現場の感覚とはあまりにもかけ離れた判決だと思います。

転倒しないようにベッドに縛り付けられ、排せつはオムツに行い、廃用が進み寝たきりになる。一方、自分でトイレに行き、転倒して麻痺が起こり寝たきりになる。寝たきりという結果は同じでも、後者では人間の尊厳は保たれているのです!

このような判決がまかり通るのであれば、今後、認知症で転倒リスクの高い患者は全員拘束される、あるいは入院を拒否される、ということになってもおかしくありません。

(投稿者:斉藤 揚三)

食生活と身体の退化2018年11月06日 

『食生活と身体の退化-先住民の伝統食と近代食 その身体への驚くべき影響ー W.A.PRICE 恒志会』

無題

この本は、歯科医師のプライス博士が、世界中の先住民の口腔内の状態を調べて報告した本で、1939年にアメリカで出版されました。今から約80年も前に出されたというのが驚きです。

以前このブログで、日本中の村の食生活を実地調査した「日本の長寿村・短命村」という本を紹介しました。一方、これとほぼ同時代の交通機関が発達していなかった時代に、イヌイット、インディアン、メラネシア人、アフリカの部族、アボリジニーなど、世界中の先住民族の食生活と口腔内の関係を実地調査していた方がいたのです。伝統食を続けている先住民が少なくなっている現代では、非常に貴重な資料にもなっていると思われます。

本書によると、世界中のあらゆる先住民は例外なく、近代商業食品(精白小麦粉、砂糖、精白米、植物油、缶詰食品)が入ってくると、虫歯が蔓延し、歯列弓の不正から乱杭歯、鼻孔の狭小化から口呼吸になり、また、結核などの伝染病、関節炎にかかる人が多くなります。一方で、伝統食を守って食べている先住民には虫歯はほとんどなく、いたって健康なのです。

このことが、豊富な写真によって、一目瞭然で分かるようになっています。

先住民の伝統食と近代食を比較すると、近代食ではビタミンやミネラルが圧倒的に不足しています。これが、身体の退化に関係しているのではないかと本書では考察しています。身体の退化には、目に見える形で現れる虫歯や乱杭歯だけではなく、目に見えない脳の障害=精神障害も含まれます。

逆に言えば、虫歯、伝染病、慢性関節炎、精神障害などは、栄養状態を改善させることで治る可能性があるということです。私たちは、最新の栄養学ではなく、先住民の知恵から学ぶ必要があるのではないかと思います。

本を買う余裕がない方は要約がpdfで公開されていますので、こちらを見てみて下さい。

(投稿者:斉藤 揚三)

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