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くりはら訪問クリニック

スタッフブログ

月別アーカイブ:2018年07月

ショパン・ワルツOp.64-2を弾きました。2018年07月28日 

7月22日にピアノの発表会があり、ショパン・ノクターンOp.9-2を弾きました。

あれこれ気を付けようと思っていたのですが、緊張もあり、間違わずに弾くのが精いっぱいでした(実際にはいっぱいミスをしていますが・・・)。

拙い演奏ですが、よろしければお聴きください。

(投稿者:斉藤 群大)

病気スレスレな症例への生活処方箋2018年07月27日 

『病気スレスレな症例への生活処方箋 浦島充佳 医学書院』

無題

この本は、病気になりかけている患者さんに、いかに生活指導をしていくのかについて書かれています。本書が対象としている病気スレスレの人でなくても、病気の人でも生活指導は大切です。医師の診療はともすれば、「薬を処方して終わり」ということになってしまいがちですが、病気を治療する以前に、生活習慣を改善させなければなりません。ここをおろそかにして、病気の治療をしてもうまくいかないのです。

とはいっても生活指導は、どのようにしたらよいのか分からないというのが現状ですが、この本では具体的な指導方法が書かれています。

例えば、

処方箋
#1 近所の公園まで散歩する
1か月後受診まで有効

処方箋
#1 外食、おやつ、間食、軽食を1日1回、果物、野菜、ナッツに変える。 
1か月後受診まで有効

といった具合です。薬ではなく、本来このような処方箋を書きたいものです。

この生活処方箋のメニューは自ら試すことで、説得力もでますし、引き出しを多く持つことにもなります。

また、生活処方箋を出した際に、達成できるかを「絶対無理を0%、絶対できるを100%とした時に自信のほどは何%かをたずね、60%未満であれば見直す」という記載が参考になりました。いくらいいことでも、一方的に押し付けてもうまくいかないのだと思います。

「医者の不養生」という言葉があるように、医師は激務に追われて、自分の体のことを二の次にしてしまい不健康になりがちです(昔の自分がそうであったように)。しかし、健康だからこそ患者さんを診れるのであって、健康な状態を維持するのも仕事のうちだと思っています。この本はエビデンスとともに書かれているので、エビデンスがないと信用しない医師にも説得力があります。そういった意味で、医師自らが健康になるために読む本とも言えるのかもしれません。

 (投稿者:斉藤 揚三)

がん治療における緩和ケアの重要性2018年07月20日 

栗原市医師会学術講演会 2018.7.19

「がん治療における緩和ケアの重要性」

東北大学大学院医学系研究科 緩和医療学分野 教授 井上 彰 先生

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講演では、早期に緩和ケアを導入するメリット、過剰輸液の問題、基本を押さえることの大切さなどを教えていただきました。また、在宅医療についても取り上げられました。「在宅医療の医療機関によっては、緩和ケア病棟と同レベルの高度な緩和ケアも可能」とのお話もあり、当院もさらに高度な緩和医療を提供できるように精進してしていきたいと思います。

講演の内容を箇条書きにしてまとめてみました。

・2007年に施行された「がん対策基本法」が2016年に改定され、従来のがん治療3本柱(手術、放射線療法、化学療法)と同列に緩和ケアが位置づけられた。緩和ケアはがんをたたくわけではないが患者を楽にする立派な治療。

・2010年に発表された進行肺がん患者に対する臨床研究によれば、早期に緩和ケアをうけた群では標準治療群よりもQOLが高く維持され、抑うつの発症頻度は明らかに少なかった。さらに驚くべきことに、緩和ケア群の生存期間が延びた(両群とも抗がん剤の量に差はなかったが、緩和ケア群では終末期に抗がん剤治療をうけなかった=適切な時期に適切な治療がうけられた)。

・常に重要なのは症状緩和とコーピング支援(精神的サポート)。

・適切な治療選択とACP(アドバンスケアプランニング、家族を含めて患者と先々の話をする)が患者のQOL維持に役立つ。

・日本での遺族調査では、2/3が亡くなる1か月前まで抗がん剤治療を受けていたと答えている=日本でも不必要に長く抗がん剤が使われているケースが多いと推測できる。

・10年前まではどんな標準治療をしても肺がんの余命は1年前後だったが、最近は分子標的薬がでてきて2-3年、さらに免疫療法がでてきて3-4年になってきている。新しい治療により劇的な効果が出る方もいるが、いずれ再増悪することは伝えなければならない。

・固形がんは抗がん剤では治らない(病勢を抑えるだけ)と話していても、患者にアンケートをとると約半分が抗がん剤で治ると思っている。

・抗がん剤だけを引っ張りすぎて緩和ケアの話が先送りになると、患者は見捨てられ感を味わうことになる。治療中の段階から、抗がん剤治療の先にあるものを適切に伝えるのも、がん治療医の役目。

・緩和ケアを受けるタイミング:予後6-12か月の段階。予後1年未満と診断されてから1か月以内。初回または2次治療がうまくいかない時。

・基本的な緩和ケアで8割の問題は解決する。

・NSAIDsやアセトアミノフェンを軽視しない(オピオイドだけ処方されているケースがある)。

・オピオイドの増量ペースが速いときは現治療の妥当性を疑う。

・フェンタニルをつかっているから自動的にレスキューはアブストラル舌下錠(1日4回の制限がある)とはしない。

・点滴を少なくする。
呼吸困難でゼコゼコしているひとに点滴は天敵!緩和ケア病棟にくる方の半分以上は輸液が多すぎる。残り1か月では点滴はいらない。500mlでも多いことがある。東北大学病院緩和医療科では皮下輸液をしている。当然高カロリー輸液はいらない。口の渇きは点滴で良くならないことは証明されている。口の渇きには口腔ケアが一番良い。終末期の脱水は(適切な口腔ケアがなされていれば)苦しくない。どんどんドライにするほうが患者さんにとっては楽。点滴が多くなるのは家族の希望という側面が強いが、家族にきちんと説明すれば理解してくれる。

・ひどい便秘がせん妄の因子になることもある。

・予後が週単位=PPI>6.5になったら
①輸液を極力しぼる(1000ml/日以下)
②薬は最低限にする
③侵襲的な検査や処置はしない

・ほとんどのことは在宅でできる。在宅を希望する患者・家族に「この状態では帰れない」は禁句。

在宅緩和ケアのメリット
・住み慣れた環境で精神的に落ち着く
・生活のリズム(食事、睡眠)が患者中心
・家族にとっても生と死を考える良い機会

在宅緩和ケアのデメリット(多くは認識不足から懸念される)
・急変時に対応できない
 →終末期の急変は慌てることなのか?
・必要な検査、治療が受けられない
 →そもそも終末期に必要なものは僅か
・子供に悪影響を及ぼす
 →死から遠ざける方がよほど死生観を歪める
・人手がない
 →その通りかも(まずは介護サービスをフル活用するべし)

・臨床経験年数と緩和ケアの知識は優位に逆相関がみられる=緩和ケアに関しては若い医師が変えていかなければならない!

・東北大学病院では、STAS-J(苦痛のスクリーニング)を全がん患者に週1回は看護師がスクリーニングすることになっており、3以上であれば緩和医療科に連絡が来るようなシステムを作っている。攻めの緩和ケアを実践している。

(投稿者:斉藤 揚三)

手荒れにハンドクリーム!?2018年07月17日 

手荒れにハンドクリームを使っている方は多いと思います。
ハンドクリームを塗ると、手がすべすべしていかにも皮膚が守られているように感じます。
しかし、実際はそのハンドクリームがさらに手荒れをひどくしていたとしたら、どうしますか?

論理的に説明します。

水と油は混ざらないため、混ぜるには界面活性剤が必要です。また、この水と油を混じりあった状態にすることを乳化といいます。クリームは合成界面活性剤です。クリームが軟膏に比べて塗りやすく、べたつかないのも水分が含まれているからです。しかし、クリームを皮膚に塗ることで、皮脂が乳化し、汗や手洗いなどで皮脂が洗い落とされてしまいます。皮膚を守っている皮脂がなくなると、乾燥が進み、さらに手荒れがひどくなります。ハンドクリームを手に塗るという行為は、科学的には石鹸を手に塗って洗わないことと同じです。石鹸を手に塗って洗わなければ、すべすべの肌になるかもしれませんが、そんなことをする人はいないはずです。

では、手荒れにはどうしたらよいかですが、まずは皮脂をできるだけ落とさないことが大切です。手洗いの際はできるだけ石鹸を使わないようにし、汚れが強いとき以外は水のみの手洗いを推奨します。さらにワセリンを塗るとよいです。ワセリンは皮脂と同じではありませんが、ある程度の代わりにはなります。ワセリンの欠点としてはべたつくことがあげられますが、ワックスがけの要領で、塗った後にすぐにティッシュでふき取るとよいです。これを1日に何回も行います。

さらに手荒れがひどい方は、ワセリンを塗った後に、プラスチック手袋をはめるといいです。手袋をつけると、手指全体を湿潤環境に保つことができ、治りが早くなります。ちなみに、友人のS先生は、プラスチック手袋を付けた状態で外出していましたが、かなり目立つので、自宅でのみ行うのがオススメです。

(投稿者:斉藤 揚三)

老衰からの復活!2018年07月05日 

症例:96歳女性

既往歴:アルツハイマー型認知症、狭心症、慢性心不全、高脂血症、右大腿骨転子部骨折術後

当院初診までの経過:H30年2月中旬頃から徐々に歩行器歩行が難しくなってきていました。H30年3月末頃より、食欲不振、歩行困難となり、通院が困難となったため、当院を紹介されました。H30年4月初めに当院を初診した際には、寝たきり状態で、呼びかけに対する反応も希薄、食事も1食あたり数口程度の摂取量でした。診察の結果、老衰状態と考えられ、当院で介入してもどこまで回復するのか分かりませんでしたが、できる限りの事をしてみることにしました。もちろん、回復しない可能性は高いこと、急変もあり得ることは説明しました。前医の処方薬は以下になります。

ラニラピッド錠0.05mg  1錠
ダイアート錠30mg 1錠
プラバスタチン錠5mg 1錠 
リスパダール内用液1mg
エディロールカプセル0.75μg 1C
L-アスパラギン酸Ca錠 分1 朝食後
メマリーOD錠20mg 1錠 分1 夕食後
ペルサンチン錠25mg 3錠 
マグミット錠500mg 3錠
カロナール錠200mg 6錠 分3 毎食後
アストミン錠10mg 2錠 分2 朝夕食後

11剤の薬がでていました。まず、必要最小限の薬とすることで、食欲が回復することを期待しました。また、濃厚流動食による栄養補給と訪問リハビリを導入しました。

初診時に以下の処方薬に切り替えました。11剤→6剤への減薬。

ラニラピッド錠0.05mg 0.5錠
フルイトラン錠1mg 分1 朝食後
エディロールカプセル0.75μg 1C 
メマリーOD錠10mg 1錠 分1 夕食後
シグマート錠5mg 2錠 分2 朝夕食後
エンシュア・H750ml 分3 毎食後

その後、食欲は少しずつ回復してきました。しかし、せん妄が現れるようになり、ジプレキサ2.5mgを追加しました。フルイトランは中止し、メマリーも漸減、中止しました。エンシュアは飲むと下痢になるためほとんど摂取できませんでした。

その後、昼夜逆転がみられるようになり、ジプレキサをセロクエルに変更。現在は以下の処方薬になっています。

ラニラピッド錠0.05mg 0.5錠 分1 朝食後
エディロールカプセル0.75μg 1C 
セロクエル25mg錠 1錠 分1 夕食後
シグマート錠5mg 2錠 分2 朝夕食後

現在、食事は3食を全量摂取でき、夜も眠れています。また、訪問リハビリによりADLも改善し、見守りの上で歩行器歩行もできています。バーセルインデックス(ADLを評価する指数。点数が高いほど自立している)も2か月半で5点→65点に大幅に回復しました。ここまでうまくいくことも珍しいですが、こういった症例もありますので取り上げてみました。

(投稿者:斉藤 揚三)

がん患者さんに対する頻回訪問2018年07月02日 

看護師による系統的な身体症状のモニタリングが倦怠感を緩和することを示した研究があります。

Systematic monitoring and treatment of physical symptoms to alleviate fatigue in patients with advanced cancer: a randomized controlled trial. J Clin Oncol. 2013;31:71623.

倦怠感のある152名の進行がん患者を、看護師による定期的なモニタリングを受ける群と対照群に分けて倦怠感が改善するかどうかの研究。

看護師は身体症状だけに対応し倦怠感そのものには焦点を当てなかったが、看護師によるモニタリグを受けた群では、対照群に対して有意に倦怠感が改善していた。

『緩和治療薬の考え方、使い方 森田達也 中外医学社』より抜粋

この研究では看護師によるモニタリングでしたが、看護師に限らず、あらゆる職種でも同じ結果が出るのではないかと考えています。

この研究を応用すれば、末期がん患者さんには、医師でも看護師でも頻回に訪問したほうが、倦怠感が緩和される可能性があるということだと思います。さらに、医師、看護師に限らず、ヘルパー、訪問入浴、薬剤師、リハビリなどあらゆる職種の人が介入し、「調子はどうですか」と声を掛けるだけでも違うと思います。

また、この研究では倦怠感に関しての調査ですが、もしかすると頻回訪問の方が生命予後も変わってくるかもしれない?とも考えながら診療に当たっています。

(投稿者:斉藤 揚三)

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