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日別アーカイブ:2018年01月13日

クローズアップ現代+「認知症でしばられる!?~急増・病院での身体拘束~」2018年01月13日 

1月11日にNHKで放送された、クローズアップ現代+「認知症でしばられる!?~急増・病院での身体拘束~」を興味深く見ました。

精神科病院における身体拘束はここ10年で倍増していて、現在、1日あたり1万件を超えているとのことです。その背景には精神科病院に入院する認知症の人が増えてきているからとのことです。

入院で身体拘束される理由として考えられるのは、入院すると環境の変化についていけずにせん妄を発症しやすいこと、また病院では患者さんの安全を第一に考えられており転倒や点滴抜去などを起こさせないようにするためだと思われます。

番組では、身体拘束によって廃用がすすみ介護度が大きく下がった例、長期間の拘束により肺塞栓を発症し死亡した例などがでていました。

一方、都立松沢病院で6年間で身体拘束を9割減らした取り組みが紹介されました。院長は、「我々は人の精神をケアするプロなんだから、力で患者さんを制圧するような治療手段を持たない方がいい。患者さんを人としてきちんと対応するということ。」と述べていましたが、まさにその通りだと思いました。具体的な対策としては、

・スタッフの意識改革…拘束された患者へのアンケートをみせ、拘束が患者の心を深く傷つけていることに向き合う。

・拘束の原因を解決する…経鼻経管栄養を外し経口摂取にする。転倒リスク高い人は部屋中にクッションをしきつめるなど。

・家族に拘束しない同意書をとる…怪我をするリスクに同意してもらう。怪我をするリスクはあっても患者の尊厳は守られる。

ゲスト出演していた、山梨学院大学教授の竹端寛先生は、「本人が言うと精神症状だと思われさらに拘束される、家族が言うと退院させられるということで、身体拘束に異議をとなえづらい雰囲気ができている。そのため、第三者による訪問や、情報公開、ビデオに録るなどのが可視化が必要。」「認知症が増えてきているが社会の中で支える仕組みが不十分なため精神科病院に入院することが多くなっている。そもそも、認知症になっても精神科病院に入らなくてもいいような仕組みを作ることが大切。」と述べていました。この意見もその通りだと思います。

これからは、精神科に入院しないで自宅や地域で暮らし続けられるように、医療者が自宅などを訪問して症状の悪化を防ぎ地域や社会で支えることが大事で、これはまさに訪問診療そのものです。

身体拘束しないことで転倒して怪我をしてもいいじゃないか、点滴を抜いてしまうなら点滴をしなくてもいいじゃないかという社会の方が健全だと思います。転倒して怪我をしたら病院を責めるというような社会では、拘束はなくならないものと思います。

(投稿者:斉藤 揚三)

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