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スタッフブログ

月別アーカイブ:2017年11月

点滴による医療事故について2017年11月25日 

こういった記事をみると、あらためて皮下点滴が有利なのが分かります。皮下点滴の方法はココをクリック

在宅の場では点滴を管理する人は家族になるのでなおさらですね。

岐阜県立多治見病院で今年4月、入院中の70代の女性の点滴チューブが外れ、血液が流れ出し死亡する医療事故があったことがわかりました。

 病院によりますと、死亡したのは内科に入院中の70代の女性で、今年4月11日午後6時半ごろ、看護師が点滴を投与したところ、約1時間半後に点滴のチューブが分岐部分で外れているのを、見つけました。

 女性の血液はチューブ内を逆流していて、既に心肺停止の状態でした。

 女性は点滴を受けた際は意識はほとんど無く、自分で外すことは考えにくいということで、警察が司法解剖した結果、死因は失血死でした。

 病院は医療事故と認めた上で、外部の医師らによる調査委員会を設置して原因を調べていて、岐阜県警も病院側に過失がなかったか調べています。

東海テレビ 2017.11.25

敗血症の新基準 qSOFA2017年11月20日 

2016年に新しい敗血症の定義が提案されました。

それは、qSOFA(Quick Sequential Organ Failure Assessment)です。

クイックソーファと言います。

感染症を疑った場合、以下の3項目のうち、2項目を満たす場合は敗血症の可能性ありと判断できます。

①呼吸数 22回/分以上

②意識変容(GCS 15未満)

③収縮期血圧 100以下

このスコアのすごいところは、全てバイタルサインだけで判断できることです。

そのため、採血結果をすぐにみることができない訪問診療では、とても頼りになる指標です。

とは言っても、認知症がある高齢者などでは、最初からGCS15未満に引っかかってしまうので、普段の意識レベルと比べてどうなのかをみることが大事です。

まとめると、呼吸数増加や意識変容、血圧低下をともなう発熱は敗血症の可能性があるということです。

こういった、バイタルサインの見方の勉強会を来月行いたいと思います。

詳しくは、お知らせ欄をご覧ください。

(投稿者:斉藤 揚三)

真の勉強法とは?2017年11月17日 

『医学部に行きたいあなた、医学生のあなた、そしてその親が読むべき勉強の方法 岩田健太郎 中外医学社』

無題

この本は、神戸大学大学院医学研究科感染症内科教授の岩田健太郎先生が書かれた本です。岩田先生は、感染症に関する多数の本を執筆されていますが、この本はちょっと毛色が違っています。

タイトルを一見すると、医学部受験のための勉強法が書かれているのかと思ってしまいますが、本書は受験勉強に限らず、あらゆる勉強の本質について書かれています。そのため、受験生に限らず、真の勉強とは何なのかを知りたいあらゆる方に読んでほしい本です(そう考えるとタイトルがちょっと残念な気がします)。

本書には受験を突破するための効率的な勉強法などは書かれておらず、逆に、効率の良さは長い目でみると効率の悪さになると指摘されています。これは、林修先生が「勉強は遠回りの方が良い、無駄だらけの勉強でも興味を持ってやっていれば、土台がしっかりして応用が利くようになる」と言っていたことと同じだと思います。「急がば回れ」というわけです。

一方医学生は、幼少期から効率の良い勉強を叩きこまれています。また、質問に答える能力は高いが、質問する能力は低いとも書かれています。いくら質問に答える能力が高くても、既存の考え方や価値感や常識を打ち破ることはできません。

本書では、この効率の良い勉強から来る質問能力の欠如を「官僚的知性」と呼び、日本のエリートの病巣になっていると考察しています。

さらに、医学生は勉強を手段としてとらえているため、医学部に合格したとたんに勉強しなくなります。英語が苦手な医師が多い理由を単に勉強不足であるからと断定しています。

自分にとっても、耳が痛くなる話ばかりが書かれていますが、岩田先生の言う本当の知性(勉強を手段ではなく目的とする、自分の分からないものを分かりたいと思える、いい質問ができる)を得られるようになりたいものです。

(投稿者:斉藤 揚三)

リリカに関する告発について2017年11月15日 

m3.comのカンファレンス内にリリカに対する告発が載っていました。

非常に重要な告発だと感じたので全文を以下に添付します。

巨大な製薬メーカーを相手に、患者を守るために立ち向かおうとしている医師がいることはすごいことです。

自分自身、これまでたくさんリリカを処方してきましたが、今後は適応をよく考えて処方していきたいと思います。

また今後、学会などが新しい指針をだすのかどうか注視していきます。

私は現在、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)の専門委員をやっています。リリカのPMDA新薬担当部署での承認のプロセス、それに次ぐ製薬メーカーのプロモーションのやり方が、PMDA内でも問題視されています。整形外科医療の現場で多くの適応外処方・患者被害が広がっています。私の患者にも、副作用のふらつきで骨折をした人、救急車で搬送されてきた人が数人います。まず、当局の審査・管理の下で、リリカの適応症である「神経障害性疼痛」に対しての適正化が必須です。内部告発の様な形になりますが、あまりに酷い前代未聞の状況なので、この場を借りて整形外科の先生方に周知します。

リリカが「神経障害性疼痛」の適応を得た経緯は、PMDAのwebsite内のインタビューフォーム(http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/1190017F1029_1_02/の左下にリンク)に明記されています。要旨は、下記の2ステップによる三段論法です。

1) 当局PMDA審査部署による非学術的な言葉のすり替えによる適応拡大
リリカの臨床治験で効能が実証されているのは「帯状疱疹後神経痛」と「脊髄損傷後疼痛」の2疾患だけです。ところが上記審査部(整形外科以外の医師が中心です)は、それぞれを何の追加試験もしないで「末梢性神経障害性疼痛」と「中枢性神経障害性疼痛」という病名にすり替え、更にこの2つを纏めて、非常に曖昧で何とでも解釈できる「神経障害性疼痛」という病名へと適応拡大しました。
2) 製薬メーカーによる不公正な情報操作
製薬メーカーはリリカと言う薬剤名を出すことなく「疾患啓発」という形で、学会、講演会、公共メディアでは武田鉄也氏を起用して「すべての疼痛の中で『神経障害性疼痛』を占める割合は大きい」という学術的に根拠のないことを日本中に喧伝し、あたかもリリカが、整形外科一般疾患の疼痛(腰痛、坐骨神経痛、神経根症、そして関節痛、etc.)にも効能があるかのような情報操作を行って、現場の医師、保険審査員、更には患者さんの誤解を誘発しました。製薬メーカーのwebsiteの「疼痛.jp」(http://toutsu.jp/cm/)には、「神経障害性疼痛はさまざまな原因によって神経が異常な興奮をすることで起こる痛み。代表的なものは、坐骨神経痛、腰痛症、頸椎症」という不正確な情報が先日まで明記されていました。ところが、このサイトは最近になって何の説明もなく無責任にこっそりと削除されています(アクセスしてみてください)。

「神経障害性疼痛」という馴染みのない病名が適応症になっているのはリリカだけなので、上記の2つの三段論法によって医療現場に誤解が誘導されて、整形外科の多くの疾患に対してリリカが多量に処方され、莫大な国民医療費が充填されています。結果は、多くの整形外科の患者さんが、効能が実証されていない薬を飲まされ、副作用(めまい、傾眠、ふらつき)に苦しんでいる、という現状です。

内容をわかりやすくするために架空の例え話にすると下記と同様です。
1) 当局が学術的根拠もなく「糖尿病薬」を「生活習慣病」へと適応拡大した。
2) メーカーが「生活習慣病の代表的なものに高血圧がある」と情報操作した。
3) 誤解誘導された現場では、その糖尿病薬を高血圧の患者に多く処方した。
4) 血圧は下がらず、低血糖になる患者被害が拡大した。

もし、上記の架空話が現実に起これば、まず率先して循環器学会が抗議するでしょう。ところが今回のリリカの件は架空話ではなく、実際に整形外科の現場で起こっています。他科の医師たちによる当局審査部署と製薬メーカーの両者が学術的根拠もないままに推進したことによって、何の関与もしていない整形外科の多くの患者さんが被害を受けています。日本中の整形外科の患者さんを守る義務がある日本整形外科学会の姿勢が問われていると思います。

リリカは米国のファイザー社が開発した薬剤ですが、FDAでの適応症はあくまで学術的根拠に基づいており、鎮痛剤として認可しているのは「帯状疱疹後神経痛、脊髄損傷後疼痛、糖尿病性神経痛、線維筋痛症」だけです(https://www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/2012/021446s028lbl.pdf)。また、ヨーロッパの審査当局(EMA)のリリカの添付文書にも、「末梢性神経障害性疼痛」として「糖尿病性神経障害と帯状疱疹後神経痛」、「中枢性神経障害性疼痛」として「脊髄損傷後疼痛」と明記されています(http://www.ema.europa.eu/docs/en_GB/document_library/EPAR_-_Summary_for_the_public/human/003880/WC500166174.pdf)。具体的な疾患名を出さないで「神経障害性疼痛」などと有耶無耶にしているのは日本のPMDAだけです。

しかしながら、米国においては、ファイザー社のプロモーションによる医療の現場での疼痛全般への適応外処方が従来より問題になっており、2009年にはアメリカ司法省の指示で、ファイザー社は和解賠償を行っています。ところが、その後もファイザー社は懲りることなく、国民に向けてのメディアを使ってのコマーシャルを続けて、適応症に関する誤解を誘発し、売り上げを着実に伸ばしています(2016年には2012年の倍以上に伸びています)。この経緯は、ごく最近のN Engl J Medの誌説(N Engl J Med 377:411,2017)において批判されるに至っています。ここで重要なのは、「米国における適応外処方・患者被害については、学術的根拠に基づいて適応認可を行ったFDAには責任なく、不公正なプロモーションを行ったファイザー社のみの責任。一方、日本においては、学術的根拠を逸脱した適応拡大を認めたPMDAと、それを巧妙に利用して不公正なプロモーションを行った製薬メーカーの両者の責任」ということです。

そもそも、「神経障害性疼痛」の定義・病態・疾患の特定が学術的に不可能であることは、ペイン科(日本ペインクリニック学会)自身が認めています。証拠としては、日本ペインクリニック学会が作った「神経障害性疼痛 薬物療法ガイドライン – 日本ペインクリニック学会」の初版(平成23年:https://www.jspc.gr.jp/Contents/public/kaiin_guideline05.html)と改訂版(平成28年:https://minds.jcqhc.or.jp/n/med/4/med0246/G0000896)の明らかな違いです。初版では、「神経障害性疼痛に包括される一般的な疾患・病態」を表2(P13)として明記してあります。出典は海外の2003年の英文論文(文献19)です(これもかなり怪しい論文ですが)。当然、この中には、腰痛も坐骨神経痛も関節痛も入っていません。ところが、改訂版では、初版にあった「神経障害性疼痛に包括される一般的な疾患・病態」は消えています。そのかわりに、「一般疾患の痛みの病態分類(神経障害性疼痛となりうる疾患一覧)」を表1(P22~23)に示しています。つまり、痛みのあるメジャーな疾患全てを単に羅列して、「この中にひょっとしたら神経障害性疼痛も入っているかも知れませんよ」という逃げのスタンスに変わっています。出典も初版と違って日本語の2013年の文献です(文献1)。すべての疼痛疾患の中に坐骨神経痛や腰痛症が入るのは当然で、これらを神経障害性疼痛に含める学術的根拠がないことを日本ペインクリニック学会が認めた、ということです。整形外科一般疾患に対するリリカの効能を否定する論文や批判する誌説が続出して、肯定する論文がゼロなのは当然の帰結でしょう。

私は、ここまで整形外科医療の現場を侮辱した悪質なケースを経験したのは初めてです。リリカの前例を意識したのかどうかは不明ですが、最近、リリカと類似の作用機序を持つ新たなα2δリガンドが、第一三共社から申請されていて、もうすぐPMDAでの承認審査が始まる、と聞いています。この新薬の第3相治験で効能が証明されているのは、「帯状疱疹後神経痛」と「糖尿病性疼痛」だけです。当然、この2つでの申請・承認が公正と考えます。しかしながら、リリカの「神経障害性疼痛」の前例が残ったままだと、この新薬も学術的根拠のないままに「神経障害性疼痛」の適応にすり替えられる可能性は否定できません。第二のリリカが整形外科の現場に登場し、適応外処方、患者被害、そして「薬害」が拡大することに強い懸念を覚えます。

以上より、リリカは「帯状疱疹後神経痛」と「脊髄損傷後疼痛」にしか効能が実証されていません。ところが現実には、その効能が学術的に立証されていないどころか、否定されている一般整形外科疾患の多くの患者さんに処方されています。関係者は、患者さんやその支持団体、更には納税者である国民から、背任罪の提訴、薬害訴訟を受けても逃れられない、前代未聞の事態であると思料します。関係者とは、製薬メーカーだけではなく、PMDA、保険審査員、そして私を含む不勉強な現場の整形外科医を指します。

日本には、運動器の基礎研究に従事している整形外科医や医学研究者が大勢おられます。彼らの殆どは、その成果が将来、臨床に還元されて患者さんの福音となることを目標・拠り所として昼夜を惜しんで研究を続けています。画期的な新薬は、彼らの莫大な労力、果てしなく続くワインディングロードの末に生まれることは言を俟ちません。しかしながら、その確率は限りなく低く、殆どの研究者の汗の結晶は患者さんの手に届くことなく、水泡として消えてしまいます。その一方で、学術的根拠もないまま、巧妙で狡猾なプロセスを経て、広く患者さんに届いているリリカのような薬剤が存在しています。

長文になりましたが、以下がまとめです。
1) リリカの効能が学術的に証明されているのは、「帯状疱疹後神経痛、脊髄損傷後疼痛、線維筋痛症」だけです。PMDAでの「帯状疱疹後神経痛、脊髄損傷後疼痛」から「神経障害性疼痛」への適応拡大の学術的根拠は皆無です。
2) リリカがPMDAにおいて「神経障害性疼痛」を効能・効果として適応症が拡大承認された2013年2月以降に、脊椎神経根性疼痛(2015/1/20)、坐骨神経痛(2017/3/23)、腰痛症(2017/6/6)に対するリリカの鎮痛作用を否定する、学術的に高レベルの臨床試験が報告されました。一方、リリカがこれら整形外科一般疾患の疼痛に有効であることを示した報告は皆無です。
3) このような学術的事実を無視して、製薬メーカーは、「神経障害性疼痛」には、整形外科一般疾患の疼痛をはじめとする多くの疼痛が含まれる、という情報操作を医療関係者や患者さんに対して行なっています。「神経障害性疼痛」の適応症を取得している薬剤はリリカしかないため、上記の情報は、「リリカが整形外科一般疾患の疼痛に効能がある」と現場の医師や保険審査員に受け取られて当然です。
4) 結果として、国内の整形外科疾患の多くの患者さんが効能が実証されていない薬を飲まされ続けて、副作用に苦しんでいます。また、国民医療費が効果のない治療費用に充填されています。
5) 最近、新たなα2δリガンドが申請されており、リリカの前例が残存したままだと、国民の医療被害が更に拡大することが懸念されます。

多くの整形外科の患者さんが長年に渡って効能が実証されていない薬を飲まされ続けて、副作用に苦しんでいます。国民の血税は、その根拠のない医療に注ぎ込まれています。これが日本の整形外科医療の現状であると言われると、我々現場の医師にも反省し改善しなければならない部分もあると思います。しかしながら、整形外科医の与り知らないところで起こってしまった今回のリリカの隆盛は、学術的根拠に基づくフェアな医療、それに真摯に携わっている研究者・臨床医の信義を根本から否定・愚弄するものであり、到底、看過できるものではないと考えます。製薬メーカーも、当局も、そして我々医師も、公正な学術的根拠に基づいて患者さんに対峙していく矜持を忘れるべきではないことを、強く主張したいと思います。まずは当局における、リリカの適応症を、曖昧な「神経障害性疼痛、線維筋痛症」から、あくまで学術的根拠に基づいて具体的な「帯状疱疹後神経痛、脊髄損傷後疼痛、線維筋痛症」への変更が必須です。

川口 浩 2017/11/05

アイスクリームの選び方2017年11月13日 

アイスクリームは、乳固形分と乳脂肪分の含有率で、アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイスに分類されています。

アイス

乳固形分が15%以上、乳脂肪分が8%以上のものが、アイスクリームと定義されています。

アイスクリームを買う時は、商品に表示されている「種類別」をみて、アイスクリームと表示されているものを買うべきです。

とあるメーカーのラクトアイスの原材料表示を見てみます。

乳製品、植物油脂、砂糖・・・と続きます。

原材料表示の順に、多く含まれている成分となります。

なぜアイスクリームに油が必要なのでしょうか?

それは、高価な乳脂肪(クリーム)を使わず、安価な植物油脂で代用しているからです。

これはアイスクリーム風の食べ物であってアイスクリームではありません。

植物油脂が健康を害することは以前のブログでも取り上げています。

アイスクリームを買う場合はアイスクリームと表示された値段の高い商品を買うべきです。

安いアイスクリームはラクトアイスまたはアイスミルクである可能性が高いと考えてよさそうです。

(投稿者:斉藤 揚三)

薬を一切使わない管理2017年11月10日 

医学教育の基礎を築いたウィリアム・オスラーは、以下の名言を残しています。

Nickel-in-the-slot,press-the-button therapeutics are no good.You cannot have a drug for every malady.

“スロットにニッケル銀貨を入れてボタンを押すだけ、このような治療は好ましくない。すべての治療に必ずしも薬を使う必要はない。”

この言葉の通り、薬を出すことだけが医者の仕事ではありません。

当院では薬を一切使わないで管理している患者さんが少なからずいます。

内服ができなくなった方、服薬を拒否している方、いらない薬をなくしていったら全てなくなった方など様々です。

不思議と思い切って薬を全てなくしてみると、入退院を繰り返していた人が、安定して入院しなくなったりすることがあります。

究極の減薬は無処方であると考えています。

(投稿者:斉藤 揚三)

イソジンガーグルでうがい2017年11月08日 

先日、当院の患者さんで、のどが痛いためイソジンガーグルでうがいをしているという方がいました。

当院ではイソジンガーグルでのうがいは、むしろ逆効果と考えていて勧めていませんが、そのことを論理的に説明します。

イソジンガーグルでうがいをすることで、病原菌を殺しているとイメージしているのかもしれませんが、病原菌だけではなく、本来なんの問題もない常在菌も殺してしまうことになります。すると、それまでは常在菌の天下だった口腔内に病原菌やカビの繁殖する余地が生まれてきます。また、イソジンには組織障害性もあるので、組織が傷みます。傷んで死滅した組織が病原菌やカビの格好の餌となり、これらの微生物が繁殖することとなります。そうなると、ますますのどが痛くなります。

同じ理由で、リステリンなどのマウスウオッシュも全く意味がない(どころか有害である)ことが分かります。 

つまり、「病原菌のみを殺菌できる」という出発点が間違っていたわけです。そう都合のいい話はないわけです。

(投稿者:斉藤 揚三)

認知症にプレタール2017年11月06日 

シロスタゾール(プレタール®)は抗血小板薬で、血栓をできにくくし、脳梗塞の再発を予防する薬剤です。

プレタールが他の抗血小板薬と違う点は、血管壁に作用し、血管を拡張させ、脳血流を増加させる作用があります(これによってアミロイドβの排出効果があるとも言われています)。

さらに、脳神経細胞内にあるCREB(cAMP応答配列結合蛋白)のリン酸化を促進させ、神経伝達を促進させ、認知機能を改善させる可能性があるといわれています。

当院でも認知機能の改善も期待してプレタールを処方しますが、「挨拶をしない方が挨拶するようになった」り、「帰宅願望が強い方が、帰ると言わなくなった」りと、効果を実感しています。

コウノメソッドでは先発でないと効果が落ちるとのことなので、先発で処方しています。

プレタールOD錠50mg 2錠 分2(通常の半分の量)で処方することが多いです。

さらに、誤嚥性肺炎の予防効果も期待できます。

しかし、いろいろな副作用があるため、処方には注意が必要です。

一番多い副作用には、頻脈があります。脈拍数が100を超えるようなら中止を検討します。ついで、頭痛やほてり感もあります。

また、心臓の仕事量を増やすことで、狭心症、心不全、不整脈を悪化させることがあるため、循環器系のリスクが高い方には使えません。

下肢の浮腫や胃潰瘍にも注意が必要ですし、食欲が低下する方もいるので、食欲が低下している場合には本剤の副作用を疑う必要があります。

(投稿者:斉藤 揚三)

CURB-652017年11月03日 

肺炎治療を外来でするか、入院でするかについていい指標があります。

CURB-65というスコアリングです。

頭文字を一つずつとっています。

Confusion:意識障害

Urea : BUN 20mg/dL 以上

Respiratory Rate:呼吸数 30回/分 以上

Blood Pressure:血圧 90/60mmHg 以下

6565歳以上

死亡率:(0~1点)2%、(2~3点)15%、(4~5点)50%

2点以上なら入院治療が望ましいと言われています。

Urea以外は、バイタルサインだけで判断することができます。バイタルサインの重要性が改めて分かります。

訪問診療を受けている患者さんは、ほとんどが65歳以上なので、この時点で1点。あとは、呼吸数が30回/分以上か、収縮期血圧が90以下であるだけで入院適応があるということになります。

しかし、この基準はあくまで目安であり、基準以下でも社会的な理由で入院となることもありますし、逆に基準を満たしていても、そもそも看取り段階の場合は在宅で加療することもありますので、ケースバイケースでの対応となります。

(投稿者:斉藤 揚三)

インフルエンザワクチンの筋肉注射2017年11月01日 

『高齢者のための感染症診療 岩田健太郎 丸善出版』のなかで、インフルエンザワクチンを三角筋に筋肉内注射(以下、筋注)することで、痛み、赤み、腫れなどの副反応を抑えることができるとの記載がありました。

私は、インフルエンザの副反応がでやすい体質なので、自分の体でインフルエンザワクチンの筋注を試してみました。

注射後は筋内に若干の違和感があるくらいでした。いつもは局所の腫れやかゆみに数日間悩まされますが、そういったことはありませんでした。

そこで、調べてみると面白いことが分かりました。

・ワクチンは生ワクチンと不活化ワクチンに分かれ、インフルエンザワクチンは不活化ワクチンに分類される。

・不活化ワクチンは、筋注の方が効果が高い。

・筋注の方が優位に副反応が少ない。

・欧米ではインフルエンザワクチンは筋注している。

・日本では皮下注射となっている。その理由は、昔、筋注による大腿四頭筋短縮症という合併症が多発したことにより、筋注それ自体が問題とされてしまったから。

以上のことから、インフルエンザワクチン接種は筋注の方が良さそうなことが分かりました。しかし、日本ではルール違反になってしまいます。

そこで、「限りなく筋注に近い皮下注」で乗り切ろうとしている先生もいるようです。

インフルエンザワクチン接種ひとつにしても工夫があるのですね。

(投稿者:斉藤 揚三)

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