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スタッフブログ

月別アーカイブ:2017年10月

インフルエンザワクチンの予防接種2017年10月31日 

10月末から当院でもインフルエンザワクチンの予防接種が始まりました。

今年はワクチンの供給量が減っているので、当院ではまず、高齢者を優先に接種しています。

患者さんの中には、「いままでかかったことがないから大丈夫」「外に行かないから大丈夫」などといわれる方がいて、そういう方には無理には接種していませんが、高齢者には接種を勧めています。

高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015によると、インフルエンザワクチンは、高齢者で接種が勧められる。特に、呼吸・循環系の基礎疾患を有する者に勧められる(エビデンスの質:高、推奨度:高)とあります。

インフルエンザワクチンで高齢者のインフルエンザによる死亡のリスクを48%減らす、心血管イベントのリスクを64%下げる、インフルエンザ関連肺炎を57%減らすという報告もあります。

インフルエンザワクチンを接種したからと言って、インフルエンザにかからないわけではありませんが、かかったとしても重症化を防いでくれるので、高齢者は是非接種することをお勧めします。

(投稿者:斉藤 揚三)

アナフィラキシーの対応2017年10月27日 

アレルゲンに接触し数分から数時間で、呼吸器症状(呼吸困難、喘鳴、低酸素血症)、消化器症状(腹痛、嘔吐)、循環器症状(血圧低下、意識障害)などが現れたら、アナフィラキシーです。

アナフィラキシー症状に対する第一選択薬はエピネフリン(ボスミン®、エピペン®)で、アナフィラキシー死亡の最大の原因はエピネフリン投与の遅延と言われています。

しかし、専門医であっても、ショック症状でもアドレナリンを投与するのが74.8%(つまり4人に1人はショック症状であってもアドレナリンが投与されていない)という報告があります。 今井孝成 アレルギー62(11):1515-21,2013.

症状が進行し、血管が開いてしまってから(つまりアナフィラキシーショックになってしまってから)、エピネフリンを投与しても全身に循環しないので、アナフィラキシーだと分かったら、迅速にエピネフリンを投与しなければなりません。

 エピネフリンは臥位にして、大腿の外側に0.3~0.5mg(0.01mg/kg)筋注します。

必ず、筋注しなければならず、静注してしまうと大変なことになります↓
この例ではおそらくボスミン1Aが静注され、致死的不整脈が出現したものと思われます。

点滴で急死、1億円支払い 死亡生徒の両親と病院和解

 大阪府高石市の高石藤井病院で2015年、点滴を受けた堺市の高校3年の女子生徒=当時(18)=が急死したのは不適切な薬剤投与が原因だとして、両親が病院を運営する医療法人「良秀会」(堺市)と医師に約1億2700万円の損害賠償を求めた訴訟があり、大阪地裁(野田恵司(のだ・けいじ)裁判長)で3日までに和解した。病院側が診療に落ち度があったと謝罪し、1億円を支払う。

 9月26日付の和解条項には、病院側が再発防止策に取り組むことも盛り込まれた。

 訴状によると、生徒は15年12月29日夜、食後に目が腫れ、高石藤井病院の救急外来を受診。点滴を受けた直後に頭や胸の痛みを訴えて意識を失い、約3時間後に死亡した。検視の結果、原因は食物アレルギーによるアナフィラキシーショックとされた。

 しかし、両親側は、心停止状態の患者を蘇生させる場合の約4倍の量の薬剤を、静脈に投与した医師の判断は不適切と指摘。その結果、アドレナリンが過剰投与された状態になり、死亡したと主張していた。

 同病院は取材に「担当者が不在で対応できない」としている。

2017/10/04 共同通信社

ちなみに、ボスミン1A(1㎎)を静脈内注射するのは心肺停止時であり(添付文書上は1/4Aを静注)、使用法を間違えないように注意する必要があります。

また、食物アレルギーでアナフィラキシーショックを起こす危険がある人は、筋注用エピネフリンシリンジ(エピペン®)を処方してもらって、常に持ち歩くようにしましょう。

(投稿者:斉藤 揚三)

診療風景2017年10月27日 

民家の窓に、同じ柄で同じ首輪をつけた猫が連なっていたので、撮影してみました。

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(投稿者:斉藤 揚三)

食物アレルギーのパラダイムシフト2017年10月25日 

「食物アレルギーを防ぐためには、妊娠中、授乳中、そして離乳食ではアレルギー食品を避ける」というのが今までの常識でしたが、その常識が大きく変わろうとしています。

以下のような論文がでてきています。

・卵を生後4~6ヶ月から摂取することで、卵アレルギーのリスクは優位に低下(RR 0.56[95%CI 0.36~0.87])

・ピーナッツを生後4~11ヶ月から摂取することで、ピーナッツアレルギーのリスクは優位に低下(RR 0.29[95%CI 0.11~0.74])

JAMA.2016 Sep 20;316(11):1181-1192.

・重度の湿疹、卵アレルギーがある生後4~11ヶ月の乳児に、ピーナッツ摂取群とピーナッツ摂取を避ける群とに分けたところ、5歳の時点で、ピーナッツ摂取群が優位にピーナッツアレルギーの頻度が低かった(1.9% vs 13.7%)。

N Engl J Med 2015;372:803-13.

・生後4~5ヶ月のアトピー性皮膚炎を有する乳児に、鶏卵摂取群と鶏卵摂取を避ける群とに分けたところ、生後12か月の時点で、鶏卵摂取群が優位に鶏卵アレルギーの頻度が低かった(8.3% vs 37.7% )。

Lancet 2017;389:276-86.

いずれの論文も生後早期からアレルギー食品を食べさせた方が、食物アレルギーの発症が低いことが示されています。

昔は離乳食という概念はなく、すぐに大人の食事を食べさせていたようですが、それが正しかったのかもしれません。

NHKスペシャル取材班がまとめた本『アレルギー医療革命 文藝春秋』によれば、皮膚からアレルギー物質が入ると有害な異物と認識してしまい、アレルギーになる。一方、腸から吸収すると専門のTレグ(制御性T細胞)が作られ、アレルギーの予防になる。つまり、先に皮膚から入るか、腸から吸収されるかでアレルギーになるかどうかが決まるという推論をしていました。

皮膚との競争に腸が勝つには、早く食べた方がいいということが、医学的に実証されつつあるのかもしれません。

(投稿者:斉藤 揚三)

長友佑都の食事革命2017年10月23日 

『長友佑都の食事革命 マガジンハウス』を読了しました。
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長友選手が体幹トレーニングやヨガを取り入れていることは知っていましたが、食事にもこだわっているというのは本書を読んで初めて知りました。
2015年のシーズンに、度重なる怪我に見舞われ、思うような成績を残せなかった長友選手は、選手生命の危機を感じ、2016年から食事改革に取り組んだようです。

詳しくは本書を読んでもらえば分かりますが、食事に対してのかなりのこだわりが分かります。ほんの少しの判断ミスや感覚の違いで勝負が決まってしまう厳しい世界で生きるためには、体作りの材料となる良質な食事を選択することが必要との考えからです。一流のスポーツ選手にとっては、食事もトレーニングの一環なのだと分かります。

そのこだわりの一部を抜粋すると「白い砂糖を断ち、甘みはフルーツやはちみつで摂る」「時間が経った油料理は口にしない」「オメガ3系の油を摂る」「野菜くずの出汁(ベジブロス)を使う」「乾物でミネラルを補給する」などです。

興味深かったのが、糖質制限食を実践したがエネルギー不足を感じ、現在は適度に炭水化物も摂取しているところです。ここら辺は、体の感覚に合わせて調整しているとのことで、バランス感覚にも優れていると感じました。

こういったこだわりを実践できるのも、専属シェフや姉が食事のサポートしてくれているからで、周りの環境にも恵まれていると思います。本書の内容の全てを実践することは一般人には難しいですが、その一部でも生活の中に取り入れられればいいのではないかと思います。

これからワールドカップが始まりますから、食事改革した背景も知りながら、長友選手のパフォーマンスに注目していきたいと思っています。

(投稿者:斉藤 揚三)

抗コリン作用のある薬2017年10月20日 

抗コリン薬は副交感神経を抑制するために、以下のような多彩な副作用があります。

腹部膨満・便秘(腸管の動きが悪くなるため)、口渇、ふらつき、眠気、せん妄、視野障害、眼圧上昇、尿閉、高血圧、動悸など

そのため、抗コリン薬のブスコパンは、前立腺肥大症や緑内障の患者さんに禁忌なのは有名です。

注意しなければならないのは、抗コリン作用のある薬です。

抗コリン作用のある薬は数多くあります。上述した副作用が生じる恐れがあるため、抗コリン作用のある薬を処方していることを自覚しておかなければなりません(よく処方されるものを右に書いておきます)。

抗ヒスタミン薬(を含有する総合感冒薬、鼻炎薬)…アタラックス、ポララミン、PL顆粒

抗精神病薬…コントミン、セレネース

抗うつ薬(特に三環系)…トフラニール、トリプタノール

ベンゾジアゼピン系…セルシン、デパス、レンドルミン

抗不整脈薬…リスモダン、シベノール

過活動膀胱治療薬…ベシケア、ステーブラ、バップフォー

吸入抗コリン薬…スピリーバ

高齢者が風邪薬を飲んで、傾眠がちになったり、尿がでなくなったり、おかしな行動をとったりするのも全て抗コリン作用によるものです。

また、こういった薬を長期で使用していると認知機能が低下するとも言われているので、できるだけ短期の処方にとどめるべきだと思います。

(投稿者:斉藤 揚三)

脳を鍛えるには運動しかない!2017年10月18日 

『脳を鍛えるには運動しかない! ジョンJ.レイティ NHK出版』

無題

この本には、運動によって脳の働きが向上する様々なエピソードや論文(成績が上がり、ストレスや不安やうつから守り、ADHDや依存症にも効果があり、脳の老化を後戻りさせるなど)が紹介されています。

運動はほとんどの精神の問題にとって最高の治療法で、薬のような副作用もないのです。

私たちの遺伝子には狩猟採取時代からの行動様式が組み込まれていて、現代の動かない生活が、様々な肉体や精神の問題を引き起こしていると本書では考察しています。

本書を読むことで、運動が脳に良い働きをすることを知り、とにかく運動をしようというモチベーションが高まってきます。

一番興味深かったのが、第一章のアメリカイリノイ州の高校での0時限体育の話です。
授業前に運動させることにより、勉強時間を増やすことなく、成績が上がった実例が紹介されていました。

勉強時間を増やさなくても成績が上がるというのが衝撃的で、0時限体育は是非、日本の学校にも取り入れるべきだと思いました。

また、最近以下のような記事をみました。

学力を上げる部活の時間とは?

中学生や高校生になって熱心に部活動に励むのはよいことですが、勉強する時間が足りなくなるのではないかと心配する保護者のかたも少なくないでしょう。文部科学省が公表した2017(平成29)年度全国学力・学習状況調査の結果で、部活を全くしない子どもよりも部活をしている子ども、それも1日1~2時間程度の活動をしている子どものほうが、学力が高いというデータが明らかになりました。部活と学力の関係について考えてみましょう。

自主性・自律性の育成がカギ

中3の結果によると、平日の1日当たりの部活動の時間は、「3時間以上」が11.4%、「2~3時間」が43.3%、「1~2時間」が29.0%、「30分~1時間」が3.4%、「30分未満」が1.0%、「全くしない」が11.7%となっています。

さらに部活の活動時間ごとに全国学力テストの平均正答率を見ると、「国語A」の場合で、「3時間以上」が73.0%、「2~3時間」が78.9%、「1~2時間」が80.4%、「30分~1時間」が77.5%、「30分未満」が75.4%、「全くしない」が72.8%という結果でした。

平均正答率が高い順に部活の時間を並べると、(1)1~2時間(2)2~3時間(3)30分~1時間(4)30分未満(5)3時間以上(6)全くしない……という順になります。こう言うと「たまたまそうなっただけでは」「1~2時間の生徒の割合は多いので、平均正答率が高いのでは」という批判も出るでしょう。しかし、「国語A」だけでなく「国語B」、「数学A」と「数学B」も含めたすべての調査で、部活時間と平均正答率の関係は、全く同じ順序になっています。こうなると、とても偶然とは言い切れません。

つまり統計的に見ると、最も学力の高いのは部活を「1~2時間」している子どもで、部活を「全くしない」子どもは学力が最も低いということになります。勉強に充てられる時間が多そうな、全く部活動をしていない子どもが、一番学力が低いというのはやや驚きです。

これについて文科省は「因果関係はわからない」としています。ただ、部活動は生徒の自主的・自発的活動であるという学習指導要領の趣旨から類推すると、あくまで一般論ですが、部活動をしている子どもは自律性が高く、勉強も自主的にする。逆に全くしていない生徒は、勉強に充てる時間はあるものの、自ら勉強する意欲が低いと言えるのではないでしょうか。

とはいえ、1日「3時間以上」部活動をしている子どもの学力は、それ以下の活動時間の子どもよりも低いという結果から、部活動のやりすぎは禁物です。学力の面から見ると、1日当たり「1~2時間」の部活動をするのが最も効果が高いと言えます。

最近では教員の超過勤務解消など「働き方改革」のため、部活指導の問題が論議されていますが、子どもたちの学力という面からも、部活動の適正化を考える必要がありそうです。

また、部活動と勉強の関係を心配する保護者は少なくありませんが、適切な時間の部活動は、子どもたちの自主性・自律性の育成に役立ち、学力向上にもつながると言えそうです。

(筆者:斎藤剛史)

2017/10/05 ベネッセ教育情報サイト

部活をしている子供の成績がいい点について「部活動をしている子どもは自律性が高く、勉強も自主的にする」からと考察してますが、
部活によって脳が開発されているというのが正解だと思います。

(投稿者:斉藤 揚三) 

NPPVの説明会2017年10月17日 

迫川に白鳥が来ていました。もうそんな季節になったのですね。

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現在、当院では3名の患者さんにNPPV(非侵襲的陽圧換気)を導入しています。

今日は、フクダ電子さんにお願いしてNPPVの装置(クリーンエア VELIA)の説明会をしてもらいました。

小型の装置ですが、いろいろな事ができることが分かりました。

また、実際にマスクをつけてみてNPPVの体験もしてみました。
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(投稿者:斉藤 揚三)

脱保湿2017年10月16日 

訪問診療で診ている95歳の患者さんで、両下肢に皮膚炎が起きている方がいました。

ワセリン塗布を続けていましたが、3か月以上も治らない状態が続いていました。

どうすれば良くなるかを考えていたところ、アトピー性皮膚炎に対する、脱保湿・脱ステロイドで有名な藤澤重樹先生のホームページfacebookの記事を思いだしました。

そして、

①当症例は、ワセリンによる接触性皮膚炎の可能性があるのではないか?

皮膚をよく乾燥させた環境におくことにより、個々の表皮細胞は湿潤環境に比して有意にコルチゾール産生が増加するという論文があり、試してみる価値がありそうだ

と考え、ワセリンを止め、なにもしないで経過をみることにしました。

すると、驚くことに、すっかり良くなってしまいました。
左が4か月前の写真。右が現在の写真。
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ワセリンや軟膏を塗っても改善しない方には、思い切ってなにもしないという選択肢もあるのではないかと思います。

(投稿者:斉藤 揚三)

ニプロ 滴ぴた2017年10月13日 

点滴の滴下数を表示してくれる、便利な製品を紹介します。

ニプロ 滴ぴた です。
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この製品は、点滴の滴下を検知し、1分間あたりの滴下数を表示します。

いままではiPhoneの時計を見ながら、滴下数を調整していましたが、この製品を使うことで、簡単に正確に滴下数を調整することができます。小さくて軽いため携帯性も高く、訪問診療の際に持っていると便利です。

市場価格で15,000円と決して安くはないですが、よりよい在宅医療の実現のために導入しています。

(投稿者:斉藤 揚三)

 

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