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くりはら訪問クリニック

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月別アーカイブ:2017年06月

在宅での皮下点滴の方法2017年06月29日 

老衰の末期や末期がんなどで食べられなくなった患者さんを、当院では多数診ていますが、そんな患者さんが点滴を希望された場合、皮下点滴を多用しています。

皮下点滴のメリットはいろいろあります。
まず、高齢になると末梢血管が見えづらかったり、すぐに漏れてしまったりします。何回も失敗して刺すのは気の毒です。
また、在宅では、医療者が常に見ているわけにはいきませんし、せん妄などで抜去されても出血しないので安全です。
医療知識に乏しい家族であっても簡単に管理できます。
血管内に無理やり入れるわけではなく、皮下に入れて吸収されるのを待つ形なので、より自然ですし、過剰輸液の心配がありません。
体にとって必要な分だけ吸収されるというイメージです。

デメリットとしては、急速に入れることができないこと(しかし急速に入れなくてはいけない場面はほとんどありません)、急速に入れると痛みが出ることくらいです(急速に入れないようにすればよいだけです)。
では、実際のやり方を紹介します。

場所は腹部か肋間を選択することが多いです。認知症などで抜針してしまう方には背部を選択します。
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①刺入する部位をアルコール綿で拭き、刺入する部位の手前にあらかじめテープを貼っておきます。皮膚を軽くつまみあげて、22Gのサーフロー針を浅い角度で刺します。
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②すると接続部がテープの上にきます。刺入部には感染していないかの確認ができるように、透明のフィルムを貼ります。
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③ラインはループを作るようにして固定します。
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④ラインの途中に着脱可能な接続部(セーフタッチプラグ®など)をかませるのがポイントです。(点滴が終わったら、セーフタッチプラグから外してもらうことを家族に指導するだけで済むからです。外すことができないようであれば、終わってもそのまま放置してもらいます。つまり抜針にいかなくてもよくなります。)

その他の注意点など

・点滴の種類は気にしなくて大丈夫です。抗生剤も投与できます。
・慣れてくれば、点滴とラインを渡し、ご家族だけで毎日点滴することもできます。
・サーフロー針の差し替えは1週間に1回で大丈夫です。左右を変えて差し替えます。
・点滴の速度は腫れ具合によって変わるのであまり神経質になる必要はありませんが、500mlを5~10時間で入れることを目安にします。
・点滴が落ちなくなった場合には、腫れた皮下組織をマッサージすると落ちるようになることもあります。
・高齢者の場合、維持液500~700ml/日で必要十分の水電解質が補充されると言われているので、当院では維持液500ml/日とすることが多いです。
・皮下点滴を連日続けていると、食欲が回復し、食べられるようになって皮下点滴が不要になるといったこともよく経験します。

(投稿者:斉藤 揚三)

心不全を家で最期まで診るためには2017年06月27日 

2016年度の在宅医学会大会において、
「心不全を家で最期まで診るためには」のテーマで ゆみのハートクリニック 弓野 大 先生の講演がありました。
ゆみのハートクリニックさんでは、在宅で急性心不全の治療から、植込み型補助人工心臓の管理まで、かなり幅広く行っているようです。また、心不全の多職種チーム医療として、看護師による管制塔システムというものや、訪問心臓リハビリテーションも行っているようです。
講演では心不全治療を大きく、安定期、増悪期、終末期の3つのステージに分けてお話しいただきました。忘備録として講演内容を以下に載せておきます。

○急性心不全の予後(ATTEND registry
心不全で入院した患者の長期予後
院内死亡率6.4%1年死亡率21.8%1年死亡率/再入院率37.9% 
→非常に予後が悪い疾患

○心不全の病状進行のパターン
がんと違って、入院するたび、増悪するたびに病状(心機能・自立度)は進行していく。
循環器科医はいかに増悪を抑えるか、慢性期管理をどのように行うのかを注目している。

●心不全安定期

高齢者への医療指針
1.生活環境を考えよう
2.薬はシンプルに 足し算の医療はしない
3.意思決定支援を
4.介護負担の軽減を
5.多職種チーム医療で

○慢性心不全管理プログラム
退院後2~4週間で再入院の方の半分が入院
→2週間以内に訪問診療に入る
1週間で2kg以上体重が増えたら連絡してもらう
体重の管理 悪い人なら11回 悪くない人でも1週に1回は体重測定
自分で無理な人は訪問看護が入ったときは必ず体重を測定する。

○症状がない隠れ心不全 
無症候性 ステージA,B  症状が表に顕在化する前に診るのが大事

○2種類のうっ血
①臨床的うっ血 目に見えるうっ血
②血行動態的うっ血 目に見えないうっ血 いかに感知するか
血行動態的うっ血 BNPでみる 個体差があるが一人の患者の中でよくみる
BNP 100を超えたら心臓に負担がかかっていると考え専門医への紹介も考える。

○心不全の病態
拡張不全 EF>50%、収縮不全 EF<50%

○急性心不全患者における収縮不全(reduced EF)と拡張不全(preserved EF)の割合
54.9%と45.1% ほぼ同じ
収縮不全と拡張不全の予後は変わらない。

○収縮不全 標準薬物治療をしっかり
早い段階からACE阻害薬またはARB
次にβ遮断薬
症状がでてきたら利尿剤を少量
抗アルドステロン薬を入れる

○拡張不全 
高齢者の7割が拡張不全の心不全と言われている
予後を良くする薬はない
症状のコントロールが大事 エビデンスがあるのが硝酸薬と利尿薬

○利尿薬
ループ利尿薬の単剤の大量投与は、腎機能の低下や交換神経系、RASの亢進でよくない
いくつかの薬を上手に少量使っていくと良い

○心不全患者におけるループ利尿薬の種類と特徴
Bioavailability (血中に入ってきちんと作用するか) ルプラック80% 、ダイアート10%
容量依存性に対応できるのがルプラック(+抗アルドステロン作用もある)

○慢性心不全の利尿薬の種類と使用例
ルプラックを少量加えて、カリウムに注意してアルダクトンを入れる(50mgまでいけば肺うっ血を抑えられるだろう)、要所要所でサイアザイド系を加える

●心不全増悪期
急性増悪前の自覚症状
症状をひとつひとつ聞く、診る
息切れ92%
体重増加60% 食欲低下で脂肪・筋肉が落ちてきて体重が変わらなくても増悪する例あり
急性呼吸困難37%、下肢浮腫35%、発作性夜間呼吸困難28%、易疲労感17%、動悸7%

○左心不全と肺うっ血
左心不全の症状 肺うっ血、呼吸困難、起座呼吸
症状は派手
低酸素を起こす
循環器科医は左心不全の治療の方が楽
大学病院では院内死亡率 2%以下

○心不全患者は睡眠、臥床にて体液シフト→頚部と肺のうっ血→発作性夜間呼吸困難
夜間の睡眠状態、呼吸状態を観察する チェーンストークス呼吸 
明け方に無呼吸になるがいびきがない(はじめはいびきをするが、明け方ない)のは悪いサイン。
夜間の無呼吸の検査をして、陽圧呼吸の適応となる。

○右心不全と全身のうっ血
右心不全の症状 体液の貯留 下肢浮腫、体重増加 ゆっくり増えてくる
肝の腫大、頚静脈怒張、静脈圧の上昇

○高齢者心不全では下肢浮腫が起こりやすい。
家から施設に入った患者は足がむくむ →長時間の座位姿勢、筋力低下による生理的なもの

○急性心不全のクリニカルシナリオ(CS)と治療
CS1 SBP>140 fluid shift 体液が一時的に移動しているだけ NPPV 硝酸薬
CS2 SBP100-140 NPPVおよび硝酸薬 利尿薬 

○陽圧呼吸は肺うっ血を軽減する
酸素化能の改善、前負荷の減少、後負荷の減少、呼吸仕事量の減少
→血行動態に対し有益な影響を与える

急性心不全に対する治療ガイドライン
レベルA クラスⅠ 酸素投与で無効の場合にNPPV

○心不全:肺うっ血と設定圧
PAWP>12mmHg以上 CPAP4-8cmH2Oなら安心?(10cmを超えると心拍出量が低下し心不全を悪くする症例も)

○心不全増悪期に血管拡張薬をどう使う?
NTG(ミリスロール) ISDN(ニトロール)
硝酸薬の効果
Artery vs. Vein 拡張
NTG 1:1-2
ISDN 1:10
ISDN
(ニトロール)の方が急性心不全の患者によい
ISDNでは明らかにうっ血を改善する
ニトロールスプレー 舌下に1puffより2puffの方が効果的(1回空打ちする)
重度の心不全患者さんではニトロールを自宅に配備して夜苦しいときに使ってもらう 治療的診断にもなる 効果があれば心不全 朝まで効果も持続する

意識障害の既往がある重度ASの患者さんは突然死することを家族に説明する。

○高齢者における急性心不全患者の在宅管理の有用性
在宅ケア患者に限っては、うつ症状、栄養状態、生活の質のスコアが改善したというデータがある。

●心不全終末期
症状も多彩 息切れ・倦怠感90%、痛み75% (がんの痛みとも違う)
呼吸困難の評価ポイント 不安感を伴っている症例が多い
呼吸困難に対するモルヒネの適応 ①低酸素血症がない②呼吸回数<20/分でない③痰が多くないこと

末期心不全の在宅看取りのポイント
1. 適切な心不全治療を行う
2. 早い段階での意思決定
3. 介護負担への介入を考える
4. 多様な症状を定量的に判断し対応
5. 病態や治療を理解する(チェーンストークス呼吸や埋め込み型助細動器作動など)
6. 輸液は可能な限り控える
7. 在宅酸素療法、在宅人工呼吸器、ベンゾジアゼピン系内服薬または鎮静座薬、オピオイド類の4つの道具を症例に応じて使用

モルヒネは心不全であっても使える。コメントを書けば、保険で切られたことはない。
終末期ではACE阻害薬、β遮断薬をやめる選択肢はある。

(投稿者:斉藤 揚三)

シャンプーレス生活のすすめ2017年06月23日 

私はかれこれ1年以上シャンプーを使っていません。

人にそのような話をすると「え?本当ですか?どうしてですか?」と一様に驚かれますが、「(科的に考えて)必要ないからです」と答えるようにしています。

必要がないどころか、シャンプーは人体(髪や頭皮)にとって有害であり、またお金も時間もかかり、「髪にいい香りをつける」ということ以外に何もいいことがありません。

よく「湯シャンの人はくさいし、髪がベタベタ油っぽくなって不潔感がある。フケも出るし、頭皮がかゆくなる」などという意見を聞きますが・・・まさにその通りです(笑)。

そして、それがまさにシャンプーをやめることによって起こる「離脱症状」なのです。

私も正直なところ、シャンプーをやめた数ヶ月間この「離脱症状」に苦しみました。

しかし、シャンプー中止後1年経った今では、全くシャンプーを使わない状態でもそんなに臭くないし(たぶん)、髪がべたつくこともなければ、フケも出ず、かゆみもありません。

つまりこれはどういうことなのでしょうか?

以下、科学的に解説いたします。

「シャンプーによって適度な皮脂と正常な細菌が洗い流され痛めつけられた頭皮は、雑菌が繁殖して臭くなるし、頭皮を守ろうとして皮脂がいっぱい分泌されるようになってべたつき、荒れた頭皮はかゆくてフケもでる。その症状はシャンプーを使うことでリセットされ、一時的に匂いやべたつき、フケ、かゆみはなくなるものの、頭皮の状態はさらに悪くなっていく。その悪循環に陥った状態がシャンプー依存症の状態です。頭皮の状態が悪ければ、当然離脱症状も強くでて、匂い、べたつき、フケ、かゆみに苦しみます。ところが、この離脱症状に耐えてシャンプーレス生活を続けていると、頭皮が本来の健康状態を取り戻し、雑菌が繁殖しなくなるので臭くなくなり、フケもかゆみも減っていきます。シャンプーの害から頭皮を守ろうと必死に皮脂を出していた頭皮の皮脂分泌腺も、頑張らなくてもいいと気づいて徐々に余分な皮脂を出さなくなってきます。それによって髪のべたつきも減ってきます」

しかし、

「理論的にはそうかもしれないけど、現実的ではないでしょ?」

「その離脱症状に耐えられず、シャンプー生活に戻ってしまう」

「実際どうしたらいいの?」

という声が聞こえてきそうです。

次回、シャンプーレス生活にともなう様々な疑問に対して答えていきたいと思います。

 (投稿者:斉藤 群大)

血中濃度2017年06月22日 

血中濃度を測りながら投与しなければならない薬剤として、ワーファリン、ジギタリス、テオフィリン、抗てんかん薬などがあります。
当院ではあえて基準値より低めに維持していることもありますがそれには理由があります。

血中ジゴキシン濃度の基準値は0.8~2.0ng/mLとなっていますが、以下のような報告があります。
血中ジゴキシン濃度が0.5~0.8ng/mLの時が生命予後が良い。1.2ng/mL以上となると死亡率が高くなる。

つまり、ジゴキシン濃度は0.5~0.8ng/mLの低めに維持しなければなりません。

ちなみにジギタリス中毒になると、食欲不振、消化器症状(嘔気、腹痛、下痢)、徐脈、視覚異常などがみられます。

テオフィリン血中濃度は8~20mg/Lが治療域とされていますが、気管支喘息に対する抗炎症作用は5mg/L以下で認められ、COPDでも10mg/Lで気道の炎症細胞が減少したという報告があります。

つまり、テオフィリン濃度は5~10mg/Lの低めに維持したほうが良いと思われます。

ちなみにテオフィリンの慢性中毒には不整脈や痙攣など重篤な症候があります。

(投稿者:斉藤 揚三)

要支援や要介護1で介護用ベッドを借りる方法2017年06月21日 

在宅医療をするには介護保険に精通しておかなければなりません。

今回は「要支援や要介護1で介護用ベッドを借りる方法」を書いていきます。

介護用ベッドを介護保険を使って借りるには要介護2以上でなければなりません。

要支援や要介護1の方であっても、起き上がりが困難であったり、褥瘡ができたりした場合に、介護用ベッドを借りたいことがあります。かといって、全額自己負担で借りるには金銭的な負担が大きくなってしまいます。

そこで、2つの方法を紹介します。

①「軽度者に対する福祉用具の例外給付」を利用する。

医師は介護用ベッドが必要な旨を書類に記載し、ケアマネージャーが申請依頼書に記載し、役所に提出して認められれば大丈夫です。

②区分変更を行う。

介護度が実状にあっていなければ、区分変更し要介護2以上になれば借りられます。

どちらの方法をとるのかは担当のケアマネージャーさんと相談すれば大丈夫です。

(投稿者:斉藤 揚三)

死亡確認のまとめ2017年06月20日 

これまで、6回にわたって死亡確認に関係する話を書いてきましたが、一度簡潔にまとめておきたいと思います。

 

①診療継続中の患者は「死亡診断書」、診療継続中ではない患者または診療継続中の病気以外で死んだ患者の場合は「死体検案書」

②診療継続中とは「死因の病態を医師が十分に把握できている状態」を意味する。

③死因の病態がよくわからなければ「検死」が必要で、「死体検案書」を発行する。

④死亡したときは「○時 分(頃推定)」「○時○分(死亡確認)」と書くのが無難。

⑤「直接死因」と「その原因」の書き方は医師の裁量に任されているが、少なくともそう書いた根拠について説明可能でなければならない。

⑥わからないものはわからない(「不明」「不詳」など)と書くしかない。

⑦死亡診断書(死体検案書)は、「役所に提出する書類」であり、「家族の目に触れる書類」であり、「保険請求の根拠となる書類」であることを肝に銘じ、決していい加減な気持ちで書いてはならない!

 

最後に・・・最近「死亡確認は医師でなくても(看護師などでも)行えるようにする」というような議論があるようですが、これまで述べてきたように、死亡確認とは単に生きているか死んでいるかを判断するだけのものではありません。その死亡に至る病態についての十分な考察と、それに基づく的確な判断が求められます。したがって、医師ですらまともにできていないのが現状なのに、看護師など医師以外の者が行えるものだとは到底思えません。

(投稿者:斉藤 群大)

死亡確認にまつわる様々な疑問⑤2017年06月19日 

実際の臨床現場でありそうな例をあげて、私と「法医学者(医師)F先生」とで行ったやり取りを引き続き公開いたします。

 

例5.他院で「てんかん」と診断され、抗けいれん薬を内服している患者。

   階段で明らかなてんかん発作を起こし転落し、目撃していた家族が救急要請。

   搬送された救命救急センターは初診。

   頭蓋骨骨折と急性硬膜下血腫などのため手術を受けた。

   術後、細菌性髄膜炎を発症し、治療に反して病状は悪化。

   受傷より1週間後に永眠。

 

私:(ア)直接死因は「細菌性髄膜炎」、(イ)は「頭部外傷(又は「頭蓋骨骨折及び急性硬膜下血腫」)」、(ウ)は「てんかん」でよいのでしょうか?

F先生:正しいです。

私:死因の種類は「外因死」?原死因が「てんかん」なので「病死」なのでしょうか?

F先生:明確な根拠(目撃等)があり「病死」として大丈夫です。「てんかん(推定)」「1.病死及び自然死(推定)」が無難です。

私:てんかんや脳卒中などで交通事故を起こした場合は「病死」か?「外因死(交通事故)」か?どちらでしょうか?

F先生:てんかん(同乗者の証言がなければ難しいですが)や脳卒中などが原因で交通事故を起こした場合は「病死」となります。交通外傷が致死的でない場合は「病死」としやすいですが、交通外傷が致死的であった場合、どちらが先行したかが問題になります(だいたいは病気先行でしょうけれども)。結局解剖してもわからないことが多いです。保険金がかなり違う場合が多いですので「脳卒中又は多発外傷」「12.不詳の死」とするのが無難です。

私:この書き方も使わせてもらおうかと思います。でもここまで微妙なケースは警察が解剖に回すでしょうし、今後自分が書くことはないかもしれませんが。

 F先生:死亡診断書・死体検案書のどちらを発行するかで迷う様なケースは極論を言えばどちらでもまちがいではありません。医師がしっかり判断するのは、明らかな病死か否かです。わからないものはわからないとするしかありません。

私:わからないのに無理に書こうとすると「何でそう書いた?」って追求されるかもしれませんし、金がからむと恐ろしいですからね。まわりの医者を見るとかなり適当に書いていて、「大丈夫かよ!」って思うことが多々あります。

(投稿者:斉藤 群大)

小池都知事の謝罪2017年06月18日 

「約束守れていない」小池知事、築地業者に謝罪

東京・築地市場(中央区)の移転問題で、小池百合子都知事は17日、同市場を訪れ、移転先となる豊洲市場(江東区)の土壌汚染対策が不十分だったとして業者に謝罪した。

 小池知事は、水産卸売業者や水産仲卸業者など約150人が集まった市場の講堂で、「残念ながら(有害物質を環境基準以下にする)無害化が達成されていないのは事実。皆様との約束を現時点で守れていないことについて、都知事としておわびを申し上げる」と述べ、頭を下げた。

 都は豊洲市場開場の条件として、2010年3月の都議会で、「土壌が無害化され、安全な状態になっていることが前提」と説明。11年2月にも、「無害化とは、土壌はもちろん地下水中の汚染も環境基準以下になること」と強調していた。

読売新聞 6/17(土) 13:49配信

小池都知事になって迷走を続けた築地市場の豊洲移転問題ですが、遅きに失した感がありますが、ようやく収束に向かおうとしているのはなによりです。
小池都知事は、豊洲が無害化できていないことを謝罪したとのことですが、すでに豊洲が科学的に何ら問題がないことは明らかになっています。
小池都知事が謝罪すべきなのは、豊洲に風評被害をもたらしたこと、10か月間の迷走により、豊洲の維持費と業者の保障にすでに100億円超の金銭上の損失が生じていること、環状2号線の工事がストップしオリンピックの開催に影響が生じていることです。謝罪のポイントが巧みにずらされています。
結局、小池都知事の人気取りのパフォーマンスのために、ただただ混乱が生じただけだったのです。それに乗っかていたマスコミも同罪です。
これからもこういった、中身がなくパフォーマンスに終始する政治家(政治屋)が出現すると思われますが、その場の空気に流されることなく、物事を論理的に考え、騙されないようにするしかありませんね。

(投稿者:斉藤 揚三)

年齢調整死亡率についての考察2017年06月17日 

「死亡率」ワーストは青森 長野、“健康県”1位 厚労省27年調査

各都道府県で年齢構成を調整して比較した死亡率が平成27年に最も低かったのは、男女とも長野県で、最高は青森県だったことが、14日公表された厚生労働省の調査で明らかになった。年齢調整死亡率は5年ごとに出され、トップの長野は男性が2年以降6回連続、女性は2回連続だった。

 年齢調整死亡率は、年齢の要素を排除して、都道府県の人口10万人当たりの死亡数で算出した。昭和35年から始まり今回で12回目。国民の健康水準の指標とされる。

 全体的な死亡率は、男性486、女性255で、前回(22年)と比較すると、男性は58・3ポイント、女性は20ポイント低下し、状況は改善されている。

 死因別ではがん、心疾患、脳血管疾患の三大要因による死亡率は、いずれも前回より低下した。脳血管疾患では、東日本が西日本より高い傾向にある。

 都道府県別にみると、男性は長野、滋賀、奈良の順に死亡率が低く、青森、秋田、岩手の順で高い。女性は長野、島根、岡山が低く、高い方では青森、福島、茨城の順になっている。東北地方の死亡率が宮城を除いて高く、同省は「食事の味付けの好みによる塩分摂取量や運動習慣などが原因」とみている。 

産経ニュース 2017.6.14 16:40 より

このニュースをみると、宮城を除く東北地方の死亡率が高いようです。塩分摂取量と運動不足によると考察していますが、その他にも様々な要因が絡んでいると考えます。

ご飯を多く食べるためには、味付けの濃いおかずが必要で、塩分摂取量が多い=糖質摂取量が多いということだと思います。寿命には塩分そのものだけではなく、糖質も関係しているのではないかと考えています。

運動不足に関してはそのとおりだと思います。東北は冬は雪に閉ざされ、外出できない地域が多いため運動不足になります。また、「47都道府県の面積100平方kmあたりの鉄道駅数と歩数との間に負の相関がある=鉄道駅が多いほど歩く時間が長い」という報告があり、東北は鉄道網が発達していなく、車社会になっているのも運動不足と関係していると思われます。

その他の要因では、喫煙率(国民生活基礎調査、2013年度)が青森県2位、福島県3位、宮城県4位、岩手県6位、秋田県9位と高いのも影響していると思われます。

また、飲酒習慣者の割合は、青森1位、秋田4位、岩手5位、宮城8位と、これも高いです。

厚生労働省の調査(平成24年国民健康・栄養調査)をみると、視覚的に東北地方がいかに不健康なのかが分かります。唯一、野菜を多く摂取しているのがいい点ですが、その効果を打ち消してしまっているようにみえます。

(投稿者:斉藤 揚三)

死亡確認にまつわる様々な疑問④2017年06月16日 

実際の臨床現場でありそうな例をあげて、私と「法医学者(医師)F先生」とで行ったやり取りを引き続き公開いたします。

 

例4.うつ病でかかりつけの患者。

   最後の診察は1週間前で、うつ病の症状はかなり軽く落ち着いていると判断された。

   首を吊っているところを家族に発見され救急要請。

   救急隊現着時に死後硬直などなく、救急搬送された。

   来院時心肺停止状態(モニター上は無脈性電気活動)で、蘇生により心拍再開。

   集中治療室で経過をみたが、意識回復なく家族も積極的な加療を希望せず。

   1か月後、呼吸停止し、蘇生は行わず永眠。

 

私: 直接死因は「縊頸」で、死因の種類は「自殺」とすればよいのでしょうか?それとも直接死因は「縊頸」その原因「うつ病」、死因の種類は「病死」なのでしょうか?

F先生:直接死因「縊頸」はその通りです。外因死ですので異状死体の届出をします。警察が来ますので死因の種類に関しては警察と相談の上、警察の決定に従って下さい(判断の責任も警察)。縊頸は自殺で殆ど問題になることはありませんが(縊頸でも例えば自慰行為の手段でまちがって死んだ場合は事故死です。ごくまれですが)、飛び降りや入水では事故死のこともありえます。生命保険の請求でもめることがありますので、検視に来た警察官が「自殺で大丈夫」と言った場合、「生命保険会社から警察に照会が来たら自殺と断定して回答するか」と聞いて下さい。飛び降りや入水で遺書がない場合等は「断定しない」ということが多いので、その場合死因の種類は「11.その他及び不詳の外因(捜査中)」で発行するのが無難です。

 直接死因を「縊頸」その原因「うつ病」、死因の種類は「病死」とする案についてですが、このような場合は通常「Ⅱ直接には死因には関係しないが…」に「うつ病」(他院であれば「うつ病(伝聞)」)と記載するのが習わしになっています。

私:こういうところは警察に一任して判断してもらっていますが、「断定かどうか」を聞いておくってのは「なるほど!」って感じです。「11.その他及び不詳の外因(捜査中)」ってのはプロっぽい書き方ですね。その辺の臨床医でこれを書ける人はいないでしょう。

 

私:うつ病が重度で入院治療中の場合でも同じなのでしょうか?

F先生:同じです。

 

私: 死亡の原因(イ~エ)はその前の原因(ア~ウ)に対してどの程度の因果関係がある場合に記載するのでしょうか?1%でも可能性があれば記載するのか?80%以上くらいなのか?よくわかりません。

F先生:医学的因果関係がある場合とあり明確な基準はありません。医師の裁量に委ねられているというのが現実です。現実的に問題となるのは生命保険関連なので、後日照会が来た場合、関連あるなしを根拠をもって答えられるように記載する以外にないと思います。死因を確定できない場合には「その他特に付言すべきことがら」に「○○病にて通院中であったが死因との関連は不明」と書いてもよいと思います。

私:本当に金がからむと怖いので、「関連あるなしを根拠をもって答えられるように記載する」ってことは心がけているつもりですが、「○○病にて通院中であったが死因との関連は不明」っていうのはナイスな書き方ですね。今後使わせていただきます。

 (投稿者:斉藤 群大)

 

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