以前どこかで、「老人になったらありがとうという言葉だけを覚えていればうまくいく」といったような文章を読んだことがあります。
現在、当院で診察している患者さんの最高齢は103歳の女性ですが、この患者さんは難聴がひどく、コミュニケーションをとることが難しいです。
胸の音を聞きますね「ありがとうございます」脈をみますね「ありがとうございます」また来ますね「ありがとうございます」こちらが何かを話す度に、「ありがとうございます」というワンフレーズのみ繰り返しております。
こういった状態ですが、入所する施設では皆に愛されて暮らされています。
高齢になって、あらゆる言葉を忘れてしまっても、「ありがとう」という言葉さえ忘れなければすべてがうまくいくことを、この患者さんを通して学ばせてもらっています。
(投稿者:斉藤 揚三)
『超・開業力』(新城拓也、金原出版)は、在宅医療のクリニック経営に関して(経営以外でも)とても参考になる本です。
この本の中で、看取りのパンフレットを製本化するという記載があります。
当院でもやってみました。
緩和ケアの研究(OPTIMプロジェクト)のために作られたパンフレットがネット上で無料公開されています↓
http://gankanwa.umin.jp/pdf/mitori02.pdf
このPDFファイルを印刷業者さんに製本化してもらいます。
ネットで探して、製本直送.com という業者さんに依頼しました。
1部あたり280円くらいで作ってもらいました。
しっかりとした仕上がりで、満足しています。
今後はこのパンフレットを使って患者さんのご家族に説明していきたいと思っています。
(投稿者:斉藤 揚三)
トランプ大統領やフランス大統領選に出馬しているルペン党首における自国第一主義、日本では小池東京都知事による都民ファーストの会など、今世界では〇〇第一主義が席捲しています。そもそも国民の生命・財産を守るのが、国家の第一義なわけですから、自国第一主義というのは、国家の成り立ちを考えれば当たり前のことです。各国の国益がぶつかりあうのが国際社会であり、話し合いで解決することが無理であれば、それを解決するための紛争や戦争は避けられないと思われます。アメリカが北朝鮮を攻撃しようとしているのも、北朝鮮がアメリカまで届く核ミサイルを持とうとしたからであり、決して日本を守るためではなく、アメリカの国益のためだからです。しかし、平和ボケしている日本ではそのことが理解されず、さらにはどこの国のことを第一に考えているのかわからないようなマスコミや政党まで存在する始末です…
さて、ここまでが前置きで、当院では開院時より患者さんを第一に考え(患者さん第一主義で)診療してきました。これからも、世界がどう変わろうとも、患者さんを第一に考え行動して参ります。
(投稿者:斉藤 揚三)
金曜日に何気なくテレビをつけると、金スマにダウン症の書家、金澤翔子さんがでていました。番組によると自立のため1年半前から一人暮らしを始めたそうで、その生活の様子が出ていました。地域の人たちに支えられながら、きちんと一人暮らしをしている姿を見て、感動しました。料理を作る前に父親の遺影に向かって、「お父様が大好きなハンバーグを作ります。焦げないようにちゃんと上からみててください」と言っていたのには驚きました。何の変わりのない日常をきちんと丁寧に暮らすことの大切さを教えてもらいました。現在、9月の上野の美術館での過去最大の個展にむけて製作中とのことで、スケジュールが合えば行ってみたいなと思いました。
(投稿者:斉藤 揚三)
当院は「接遇」の改善に力を入れています。
それは患者さんやご家族に対してはもちろんのことながら、業務上かかわりのある業者さん、行政機関の担当者、介護福祉系のスタッフに対しても同様です。
医療者の中には「接遇などどうでもいい。患者を治すことが我々の使命だ。感じは悪いが治せる医者と、感じはいいが治せない医者がいたとすれば、患者は前者を選ぶに決まっている」という人もいます。
確かに一理あると思います。
しかし、医療者といえどもサービス業の一種です。
「病気を治す」目的は何でしょうか?
それは患者さんが、病気が治って「よかった」と思うこと、すなわち「患者の満足」だと思われます。
「患者の満足」が医療の究極的な目的であるとすれば、その目的のために「接遇の改善に取り組む」というのは当然のことではないでしょうか?
さらに言えば、当院の対象患者さんの多くは老衰の末期、末期がん、神経難病などであり、「治せる病気」ではありません。
ですから、当院で行う医療の目標は「病気を治すこと」ではなく、「苦痛を和らげ、穏やかな生活を送ること」「病気や老衰が徐々に進行するとしても、穏やかな最後を迎えられるようにすること」「緊急事態に対応すること」となるわけです。
そのような医療を地道に丁寧に行うことで、
「病気が病気だし(歳も歳だし)治らないのは仕方がないけど、できる範囲の医療も受けられて、いい先生にも診てもらえてよかった、満足だ」
となるのが最終目標なのです。
「治せる病気」を多くみている医療者は「病気を診断して治すことが一番大切だ。接遇などどうでもいい」と主張できるかもしれませんが、立場が変われば同じようには言えないのではないかと考えます。
当院は、患者さんやご家族に満足していただける医療を提供するために、これからも接遇改善に取り組んでまいります。
(投稿者:斉藤 群大)
本日、栗原市医師会学術講演会がありました。栗原中央病院循環器科 矢作浩一先生の講演でした。最近の循環器診療ー心不全治療を中心にーというテーマでしたが、非常に分かりやすく最新の循環器診療について聞かせていただきました。栗原中央病院でもPCI果てには脳低温療法までするというとてもactivityの高い先生で非常に刺激になりました。早速、明日からの診療に生かせるようなヒントをたくさん頂きました。
以下に勉強になった点を載せておきます。
・心不全はステージA-Dに分類される 症状があるのがステージC,D
・ACE阻害薬(咳嗽のため忍容性がない場合のみARB)、β-blocker(ステージC,Dでは必ず考える。欧米では7-8割投与されている。循環器科医はなるべく処方しようとしている)、抗アルドステロン薬(アルダクトンA、セララ)を使うことが心不全治療におけるTRIPLETTHERAPYと呼ばれ、最低限の治療となる。
・ACE阻害薬の中でも効果が高いのが、プレラン、オドリック、タナトリル、コバシル
・ステージD 低心拍出は1-2割で、基本はうっ血がメイン
・うっ血を取る治療をDecongestionと言う。サクッ(早く)とスッキリ(きちっと)と治す
・血管内のうっ血 症状に出ない 下大静脈が張っているなど 症状に出る前に治す
・血管外のうっ血 症状に出る 下腿浮腫、胸水 これを残すと生命予後が悪い
・ステージDの治療 NPPVによって挿管が1割に減った
・ラシックス、ダイアートを増量するよりは、様々な作用点のある利尿薬を併用したほうが早く治る印象がある(フルイトラン少量0.5~1mgを加えたりする)
・サムスカは15mgから使っている(7.5mgでは早く治らない)
・サムスカは腎不全を悪くしない
・サムスカ 呼吸困難は平均4日間(50%以上が改善するまでの日数)で改善
・リハビリは全ての心疾患の総死亡、生命予後、ADLが良くなるというエビデンスがある 全例リハビリ処方している
・ASV(Adaptive servo-ventilation) 心不全に合併するチェーンストークス呼吸(無呼吸の時間がある)に圧力をかけることで空気を送り込む 基本夜間つける 1時間以上つければ効果がでる
・エフィエントはPCI後早期から心血管イベント抑制すると言われている プラビックスからエフィエント(3.75mg)に変わってきた
・ステント治療後で心房細動が合併している患者は抗血栓薬を3剤併用しなければいけないのか?→3剤併用は出血が多く、心血管イベントは変わらないのでワーファリン、プラビックスの2剤併用で良い エビデンスはないが、NOACの2剤併用でもおそらく成績が良いのではないか(これから成績が出る)
・高齢者のカテーテル治療は症状があれば何歳でもやってもよいのではないかと言われている
・生活指導 飲みすぎ、食べ過ぎ、動きすぎない 血圧手帳に血圧に加え脈拍、体重、水分量も書いてもらう
(投稿者:斉藤 揚三)
4月3日に発売された『いま、糖質制限がすごい!(ぴあMOOK)』をご紹介します。
この本は糖質制限について詳しく知りたい一般の方が読むにはかなりいい本だと思います。
字が大きく、絵や写真、図などが豊富で読みやすく理解しやすいです。
糖質制限食のレシピもついており、実践的です。
10分野のプロがそれぞれの視点から糖質制限のすばらしさについて語っていますが、とても分かりやすいです。
このような本が当たり前のように出版され、一般市民にひろく糖質制限食が広まっている現在でも、多くの糖尿病専門医は「糖質制限は長期的な安全性が確かめられていない」として反対もしくは無視しております。
しかし、(怪しい宗教家が言っていることならいざ知らず)科学者である多くの医師が勧めている時代において、「危険だ」「やめた方がいい」というなら、そう主張する責任が問われるはずです。
将来的に、糖質制限食の方がカロリー制限食よりも優れていることが科学的に立証された場合、多くの糖尿病専門医は「糖尿病学会のガイドラインに則っていただけで自分には責任はない」と主張するでしょうが、一人の医師の判断として糖尿病学会のガイドラインを支持したという責任は免れないはずです。
多くの糖尿病専門医や管理栄養士の指導のもと、真面目にカロリー制限食に取り組んだ結果、糖尿病を悪化させた全国の糖尿病患者が「透析が必要になったのは(目が見えなくなったのは)間違った食事指導をされたせいだ」として糖尿病学会および主治医個人を相手に訴訟を起こすというのは十分に考えられることです。
というのも、糖尿病学会やその考えを支持する医師たちの主張は「糖質制限なんかを患者にすすめて何かあったらどうするんだ?その責任は負えるのか?」というものですが、裏を返せば「カロリー制限を指導して患者に何かあったら責任を負う」と言っているのと同じことだからです。だとすれば、カロリー制限をして血液透析に至ったり失明したりした患者さんは「何かあった」といえる状況なので、訴訟を起こされても文句は言えないのです。
「もはやガイドラインにしたがって医療をしていれば責任を問われないという時代ではない」ということを自分自身も肝に銘じて、自分の頭で考えて、責任をもった医療を提供していきたいと考えております。
(投稿者:斉藤 群大)
迫川の土手沿いの桜はほぼ満開です。
昨夜、雨が降る前に夜桜を見に行ってきました。投光器で盛大にライトアップされており、遠目に見ると幻想的な光景でした。
私が大学を卒業した春に、母と弘前城公園で夜桜をみたのを思い出しました。
(投稿者:斉藤 群大)
4月15日、当院の理学療法士の結婚式・披露宴がありました。
普段は寡黙で、淡々と仕事をこなしている彼ですが、この日はとてもにこやかで、本当に幸せそうでした。患者さんからのサプライズ的な祝電も届き、患者さんにも慕われている彼の人柄を反映していました。そして、最後の締めである新郎の謝辞・新生活を送るにあたる決意表明も非常に立派で感動しました。
なお、彼はハネムーンのため今週1週間はお休みです。患者さんには彼から事前にお断りをさせていただいているようですが、ご理解を賜り本当にありがたく存じます。ハネムーンから帰ってきた彼はさらに精力的に働くと思いますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。
(投稿者:斉藤 群大)