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在宅医療専門
くりはら訪問クリニック

減薬の一例

2018年12月17日 

症例:82歳 女性

既往歴:認知症、高血圧、便秘症、不眠症

当院初診までの経過:
グループホームに入所しながら、近医に通院していた。
H30.8中旬頃~急激にADLが低下(それまでは排泄が一部介助、食事は自立、手引き歩行できていたのが寝たきり状態になり食欲も低下)した。H30.9初めに総合病院の脳外科に紹介され、慢性硬膜下血腫がみつかったが、治療を要しないとの判断となった。また、H30.8中旬(ADLが低下するのと同時期)から微熱が続いており、近医から抗生剤が処方されたが、解熱していない。寝たきり状態で通院も難しくなったため、H30.9中旬に当院に訪問診療の依頼があった。

<近医の処方内容>
メマリーOD錠 20mg 1錠
エビスタ錠60mg 1錠
アムロジン錠5mg 1錠
フェロミア錠50mg 1錠 分1 朝食後
酸化マグネシウム2g 分3 毎食後
リバスタッチパッチ18mg

以下は施設の判断で中止となっていた。
レンドルミンOD錠0.25mg 1錠
リスパダール内用液1mg 0.1% 1ml 分1 就寝前
メイアクトMS錠100mg 3錠 分3 毎食後
アドナ錠30mg 3錠 分3 毎食後

当院初診時からの経過:

経過からPMR(リウマチ性多発筋痛症)も疑われましたが、肩関節・股関節周囲に圧痛なく否定的でした。施設の判断で中止されていた、レンドルミン、リスペリドンは、内服しなくても夜は眠れているとのことだったので中止のままとしました。メイアクトも効果がないようなので、中止のままとしました。アドナも中止のままとしました。

認知症は高度で、意思疎通がわずかにできる程度だったので、抗認知症薬のメマリー、リバスタッチパッチは中止。寝たきり状態で骨粗鬆症治療の必要性も低いためエビスタは中止。血圧は低めだったので、アムロジンは中止。血液検査では、フェリチンは100以上あり、炎症に伴う上昇は否定できませんが、フェロミアは中止しました。

結果的に、酸化マグネシウムのみの処方となりました。酸化マグネシウムは便の性状をみながら、施設で調節してもらうこととしました。

ご家族には、老衰状態と考えられ、徐々に食事摂取量が少なくなる可能性を話しました。その場合は、中心静脈栄養や胃瘻造設の希望はなく、少量の点滴で見守る方針としました。

結果的に、10剤から1剤への減薬となったわけですが、H30.12現在、よく話をするようになり、食事摂取量も良好で、寝たきり状態ではありますが、体の動きも良くなっています。

将来的には、食事が摂れなくなり衰弱していくと思われますが、減薬するだけでも、元気でいる期間を伸ばすことができました。

(投稿者:斉藤 揚三)

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